自社の経験、ノウハウを外販

日立が内部統制研修サービス、「虎の巻」出します

2006/12/19

 日立製作所は、内部統制整備についての研修サービスを12月20日に開始する。日本版SOX法(金融商品取引法の一部)の実施基準案も示され、「企業も本格的な対応を始める時期に来ている」(日立製作所 情報・通信グループ 経営戦略室 部長代理の八木敬之氏)ことが背景だが、コンサルティングファームなどの人員不足も指摘されていて、社内のスタッフで内部統制を進めざるを得ないという企業側の事情もある。研修サービスでは米SOX法に対応した日立自身のドキュメントや手順書などをまとめた「虎の巻」を基にしたテキストを使うという。

hitachi01.jpg 日立製作所 情報・通信グループ 経営戦略室 uVALUEビジネスインキュベーション本部 BCMビジネスセンタ 部長代理の八木敬之氏

 提供するのは企業内で内部統制整備を進める担当者向けの集合研修「内部統制整備実践研修」と、全従業員向けのeラーニング「内部統制基礎」。内部統制整備実践研修は、整備対象の絞り込みなどを学ぶ計画策定コース(1日)と、内部統制整備で鍵になる文書化を具体的に学ぶ文書化コース(2日)の内容。講師は日立コンサルティングのコンサルタントが担当する。講義だけでなく演習もあり、内部統制整備プロジェクトのメンバーが深く理解できるようになっているという。

 eラーニングの内部統制基礎は、「内部統制とは」から始まり基本的な知識を理解できる研修。日立の情報・通信グループ内で展開している内部統制教育のコンテンツをベースに開発した。確認テスト付きで、企業の状況に合わせてカスタマイズもできるという。価格は、内部統制整備実践研修の計画策定コースが1人当たり10万円、文書化コースが1人20万円。eラーニングの内部統制基礎は1人当たり6000円。

自社ノウハウを商品化

 日立は自社のノウハウを積極的に商品化している。11月22日に発売した「内部統制テンプレート/JSOX」は、日本版SOX法対応で求められる主要な統制文書をまとめた製造、流通業向けのテンプレート。単なるひな型ではなく、日立の経験やノウハウを集約した業務のフローチャートやリスクコントロールマトリクス(RCM)が付く。「フォーマットにコンテンツが含まれる。リスクや統制への気付きに使ってほしい」(八木氏)という。

 テンプレートは全般統制、業務処理統制、IT全般統制などを網羅。特に業務統制は、主要な59の業務フローをチャート化した文書や、RCM、考えられるリスクとコントロールを例示する「リスクコントロールライブラリ」が付属し、「実際の整備に役立つ」としている。価格は全般統制編の場合で150万円から。

 日立は2007年1月17日に日立グループの内部統制関連のサービスを紹介する「HITACHI 内部統制総合展 2007」を都内で開催する。基調講演では、日立自身の米SOX法対応を指揮した担当者が説明する。

(@IT 垣内郁栄)

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