Better by Design

対インテル、AMDは「餅は餅屋」戦略を採る

2007/01/24

 日本AMDの取締役 マーケティング本部長 吉沢俊介氏は1月24日、米AMDが1月9日に発表した新プログラム「Better by Design」について、「ユーザーに選択肢を提供するプログラムだ」と説明し、2007年のキーワードにすると話した。同プログラムはインテル対抗を強く意識した内容。技術や製品だけでなく、販売戦略でもインテルとの違いを打ち出して、OEMメーカーにAMD製品の採用を促す考えだ。

amd01.jpg 日本AMDの取締役 マーケティング本部長 吉沢俊介氏

 吉沢氏は、インテルが「Viivテクノロジー」などでOEMメーカーが採用できるプロセッサやチップセット、ワイヤレスなどを指定していることを念頭に、「AMDはあくまでも選択肢を提供したい。餅は餅屋というが、チップセットやワイヤレスはそれぞれのベンダに任せて、OEMメーカーが自由に選べるようにする」とBetter by Designの考えを説明した。

 Better by DesignはWindows Vistaの性能を最も発揮できるコンポーネントの組み合わせというのがAMDの主張。OEMユーザーは、プロセッサは「AMD Turion 64 X2 デュアルコア・テクノロジ」「AMD Athlon 64 X2デュアルコア・プロセッサ」から選択でき、グラフィックスのチップセットは「ATI Radeon」「NVIDIA」から選ぶ。ワイヤレスは「Broadcom」「Atheros」「Airgo」のいずれかから選択し、組み合わせる。それぞれWindows Vistaを最も活かせるようになる「厳選素材」だという。AMDは昨年ATIを買収したが、OEMメーカーの選択肢を広げることを尊重し、NVIDIAも組み合わせられるようにする。

インテル、AMDのパフォーマンス比較

 Better by Designは、エンドユーザーにもメリットを与えるとAMDは考えている。会見ではAMD Turion 64 X2 TL-50(1.6Ghz、256KB L2)、1GBメモリ、チップセットにATI Radeon Xpress 1150を搭載したノートPCを用意。インテルのCore Duo T2300(1.66GHz、2MB L2)と1GBメモリ、チップセットにインテルの945GM Expressを搭載したノートPCとのパフォーマンス比較を行った。

 比較に利用したのは、ゲームの「Sam&Max:Culture Shock」と「Adobe Acrobat 8.0e」。Sam&Maxではインテル搭載PCと比較して、AMD搭載PCの方がテクスチャの描画が詳細なことをアピール。Adobe Acrobat 8.0eでは3Dコンテンツを表示し、AMD搭載PCのパフォーマンスが優れていることなどを説明した。「一般のアプケーションでもグラフィックスの性能が違うことが分かってもらえる」(AMD)として、複数ベンダのコンポーネントを組み合わせるBetter by Designのメリットを訴えた。比較に使ったPCの名称は明らかにしなかった。

amd02.jpg 「Adobe Acrobat 8.0e」で3Dコンテンツを表示。左はAMD搭載PC、右はインテル搭載PC

ATI買収で第4四半期は最終赤字

 米AMDが1月23日発表した2006年通期の決算は、売上高が56億4900万ドルで、2005年と比較して44%の増加だった。ATIの事業を除いた場合の増加は33%。ATIの買収費用やストックオプションのコストがかさみ、2006年第4四半期の最終損益は5億7400万ドルの赤字だった。

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(@IT 垣内郁栄)

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