FedExやシティ・グループ、デルタ航空も採用

急成長中のデータグリッド製品“Coherence”が日本に上陸

2007/02/06

 日本インサイトテクノロジーは2月6日、米Tangosol(タンゴソル)とデータグリッド製品「Coherence」(コヒーレンス)の国内独占販売代理店契約を締結し、2月1日から販売を開始したと発表した。

 Coherenceは、Tangosolが“データグリッドソリューション”と呼ぶJavaアプリケーション向けミドルウェアパッケージ。プラットフォームとして、BEA WebLogic、IBM WebSphere、IBM Grid Computing、Solaris、Linux、IBM AIX、Windows、HP-UXなどをサポートする。日本インサイトテクノロジーは、直販、SIベンダへのOEM提供で、初年度2億円の売り上げを見込む。

P2Pグリッドによる分散とキャッシュで高速アクセス

coherence01.jpg 日本インサイトテクノロジー 代表取締役社長 池和田暁氏

 Coherenceでは、独自のピア・トゥー・ピア・クラスタリングプロトコルを用い、多数のサーバ群を統一されたストレージ、データベースとして扱う。蓄積されたデータは、Webサービス、クライアントソフトウェア、業務アプリケーションといった異なる形態から並列に利用できる。リアルタイムでのデータ更新が可能でありながら、データの一貫性も保証されるため、これまで大規模システムで避けづらかったデータ更新時のダウンタイムをゼロにできる。また、グリッド内でデータは二重化されているため、グリッドに対するサーバの追加・削除が容易で、耐障害性やスケーラビリティに優れたシステムを構築できるという。

 グリッド上には、バックエンドのデータベースやストレージに対して発行されたクエリや読み出しリクエストの結果得られたデータが、分散してキャッシュされているため、多数の同時アクセスをきわめて高速に処理できる。頻繁にリクエストされるデータほど、より高速にアクセスできるため、例えばeコマースサイトで特定商品に対するアクセスが集中するようなケースで、レスポンスが向上するという。

 Coherenceは、米国では銀行、証券、生保、テレコムといったミッション・クリティカル分野において、150の企業で採用実績があるいう。金融系ではオーストラリア証券取引所、シティ・グループ、リーマン・ブラザーズ、ウェルスファーゴ銀行、テレコム業界ではスプリト、小売業ではメイシーズといった大手が採用している。ネット旅行予約大手のHotwire.comでは、予約料金をルールベースで動的に計算する必要があるため、ユーザーによる1回のクエリに対して1300〜1500のトランザクションが発生するが、Coherenceの活用でレスポンス時間を1秒にまで短縮できた。

 Tangosol社CEOのキャメロン・パーディ(Cameron Purdy)氏によれば、データグリッドソリューションは、2000年創業のTangosol社が独自に開拓した市場ジャンルで、現時点で直接競合する製品や企業はない。唯一、Coherence同様の高性能データグリッド製品を提供するIBMとは、主要顧客をシェアする提携関係にあるという。同社は非公開企業で売上高など財務状況を公表していないが、2002年に黒字化して以来、年率200%の高い成長を続けているという。

 日本インサイトテクノロジーは、Java技術を中心に金融やテレコム分野のシステム開発を手がける独立系ソリューションベンダ。2007年から米国のボストン支店をベースに海外のソフトウェアの輸入・販売を始めている。

(@IT 西村賢)

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