富士通が微弱電波利用のワンセグ放送端末を開発

半径3mのワンセグ放送を店先でどうぞ

2007/03/05

 富士通は3月5日、微弱電波を利用したワンセグによるコンテンツ配信システム「スポットキャスト」を開発したと発表した。小型で省電力のボックスをレストランの店先などに設置することで、半径3メートル程度の範囲に店舗情報を“放送”できる。発信電波が微弱なため、設置や運営に免許は不要。また、デジタル放送のため、既存のデジタル地上波放送との干渉が起こらないという。

 価格は未定だが、1台当たり「数十万円の安いほうで出したい」(ネットワーク サービス事業本部 事業企画部 プロジェクト部長 河嶋英治氏)といい、夏頃の製品出荷を予定しているという。

fujitsu01.jpg スポットキャスト(背後のボックス)から送信される微弱なワンセグ放送を手前の携帯電話で受信している様子
fujitsu02.jpg 微弱電波のワンセグに限定したことで省電力を実現。ボックスにはファンもない

 スポットキャストの配信システムはオーサリングツールとワンセグ専用送信機からなる。オーサリングツールでは、各種映像や音声は富士通研究所が開発したH.264エンコーダで圧縮され、文字情報は放送用マークアップ言語のBMLでミックスする。用意した配信用コンテンツはUSBメモリかLAN経由で送信機に転送する。「オーサリングは一般ユーザーには難しいのでサービスとして提供する」(河嶋氏)が、チャンネルの設定やスケジュール配信など、配信自体は手がかからない。また、マルチチャンネルで多言語放送も可能という。

 受信には一般的なワンセグ受信端末が利用できる。周囲の環境や端末によって受信感度は異なるが、2〜3メートル以内の範囲で受信が可能。コンビニ、レストランチェーン、観光施設、イベント会場などでの導入を想定しているが、「あまりに簡単な機能なので、むしろ使い方をわれわれに教えて欲しい」(河嶋氏)と、利用シーンや用途については、今後のアイデア次第で広げていく考えだ。

 店先にスポットキャストを設置する場合、店舗情報を放送中だということをポスターなどで告知する形になる。原則として既存チャンネルと重複しないチャンネルを利用するため、初回利用時に、利用者はスポットキャストの前でチャンネルスキャンを実行する必要がある。スキャンには1分ほどかかるため、今後は、こうした使い勝手の向上も課題だという。

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(@IT 西村賢)

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