データ管理における課題解決を目指す

買収でSANを掌握したブロケードの次の目標は?

2007/03/06

brocade01.jpg 米ブロケード CEO マイケル・クレイコー氏

 米ブロケードコミュニケーションズシステムズは最大のライバルであった米マクデータの買収を1月29日に完了した。ブロケードが東京都内で開催したプライベートイベントのため来日したCEOのマイケル・クレイコー(Michael Klayko)氏は3月6日、「ブロケードはスイッチのベンダから(包括的な)SAN製品ベンダになった。今後はより広いITソリューションの提供者となっていきたい。今回の買収を生かして2社の重複する部分を排除し、投資を新技術や新製品に振り向けていく」と抱負を語った。

 買収後の製品ラインについては、まずSANスイッチで2月15日に旧ブロケードと旧マクデータのどちらの環境にも導入できる新製品「Brocade 5000」を発表した。また、ブレードサーバ組み込み型のSANスイッチでは、新機能「Access Gateway」を2007年前半に提供開始する(一部OEM供給先ベンダには3月中に提供開始予定)。これにより、旧ブロケード、旧マクデータ、シスコのいずれのSANスイッチ/ダイレクタとも接続可能になる。

 SANダイレクタについては、買収の結果「Brocade 48000」「Intrepid 6140」「i10K」の3製品が並存する形となっているが、今後12カ月以内に8Gbpsファイバチャネルをサポートする新製品を投入して、これに統合する。既存製品に対するサポートは契約通り提供し、Brocade 48000については8Gbpsファイバチャネルのラインカードも提供の予定。管理ソフトウェアは旧マクデータの「EFC Manager」に統合する予定。

 2社の統合により、新生ブロケードはインストールベースで見るとSAN製品市場の83%を占める巨大ベンダになった。しかしクレイコー氏は、このマーケットシェアに安住するつもりはなく、情報量の急増と、これに伴う管理コストや管理の複雑さの増大、内部統制の必要性といったニーズに応えるようなソリューションの提供に取り組んでいきたいと話した。

 この新しい取り組みの例が、「File Area Networkng」(FAN)として同社が2006年より展開している製品群だ。ファイル共有プロトコルのWAN最適化やグローバルネームスペースなどの機能により、情報の機動的な利用と管理負荷の軽減の両立を図ろうとしている。サーバの仮想化とともに、ストレージの仮想化は必然であり、これをどう管理していくかも今後の重要な課題だとクレイコー氏は指摘する。

 グローバルネームスペースはファイルレベルのストレージ仮想化技術といえる。では米ブロケードはブロックレベルのストレージ仮想化製品を自前で提供するつもりはないのだろうか。この問いに対してクレイコー氏は「当社はサーバ、ネットワーク、ストレージの3レベルにおける仮想化技術が共存できるようにし、アプリケーションの移動性、データ移動、シームレスなデータ移行、そしてデータの保存を助けるツールを提供し、当社のパートナーによる製品の機能を拡張したり、現在提供されていない機能を追加することを目指していく」と答え、ブロックレベルのストレージ仮想化自体には踏み込む意思のないことを明らかにした。

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(@IT 三木泉)

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