コミュニティから非難

「マイクロソフト化」するレッドハット

2007/03/26

 米レッドハットがオープンソースコミュニティから激しい非難を受けている。

 同社の「Hibernate」プラットフォームのトレーニングやコンサルティングを提供している独立系コンサルタントに対し、同社の顧問弁護士が停止命令書簡を送付したのが原因だ。

 レッドハットがオープンソースコミュニティの上に同社の巨大な影を落としている問題は、ラスベガスで開催された「TheServerSide Java Symposium」の参加者の間にも多少の波紋を呼び起こした。同シンポジウムには、Javaの中核的開発者やオープンソースの熱心な支持者などが参加した。

レッドハットから停止命令書簡

 ワシントン州レドモンドに本社を置くNeward&Associatesの創業者であるテッド・ニューアード氏は、「レッドハット Inc.: The Next Microsoft?」と題したブログ記事の中で、「レッドハットが今でもインターネットにおけるオープンソースの中心的存在であり、支持者たちに愛され、自由主義を目標に掲げていると、皆さんは思っているのだろうか」と述べている。そして同氏はレッドハットの停止命令書簡の文面を掲載し、「これを読んで、皆さんの考えが少しばかり変わったのではないだろうか」と付け加えている。同氏は、レッドハットから停止命令書簡を受け取った企業からコピーを入手した。

 ニューアード氏のブログに掲載された書簡は、「レッドハットは、貴社がHibernateのトレーニングコースを提供しているのを知ることとなった。レッドハットは、書面による合意なしに当社の商標を使用することを許可していない」と述べている。

 さらに同書簡は、「レッドハットは、Hibernate商標(米連邦登録番号:3135582)を含む多数の商標の所有者である」と言明する。

 「貴社が直ちにHibernateのブランドを冠したトレーニング、ならびにレッドハットの商標あるいは誤解を与えるような類似商標を使用したトレーニングを中止するようレッドハットは要求する。貴社がオブジェクト指向のリレーショナルデータベースのマッピングに関するトレーニングを提供するのは構わないが、貴社の製品やサービスの宣伝にHibernateという名称を使用してはならない」と同書簡は続ける。

 Hibernateは、Java用のオブジェクト/リレーショナルパーシステンス機能とクエリサービスを提供する技術であり、JBossによって開発された。皮肉にも、JBossは2005年に同じような批判にさらされた。欧州の企業などがJBossのトレーニング/コンサルティングサービスの宣伝でJBossという名称を使用していたのをJBossが問題視したことに対して、一部のオープンソース信奉者が同社を批判したのである。

 TheServerSide Java Symposiumのパネルディスカッションで、コミュニティサイト「JBoss.org」の技術リーダーであるボブ・マクフワーター氏は、「重要なのは、商標の使用とは何かを明確にすることだ。最近持ち上がった大きな問題は、商標に関することである。これは結局、商標法に帰着する問題だ。もちろん当社は今でもオープンソース企業である」と述べた。

 パネルディスカッションの後で米eWEEKの取材に応じたマクフワーター氏は、「すべて商標法に基づいている。われわれは悪い企業ではない」と語った。

市場が飽和し、弱者を脅かす?

 しかしカンファレンスの参加者の間には、この問題が拡大するのを心配する声もあった。

 ある参加者(匿名希望)は、「パイ(市場)を大きくすることの方が大切だ。レッドハットはたぶん、市場が飽和状態に達したので、弱い者を脅そうと思ったのだろう」と話す。

 別の参加者(匿名希望)も、「彼らは雑魚を追い回しているように思える。法廷で争う余裕のない零細企業を相手にしているのだ」と指摘する。

 一方、レッドハットのJBoss部門の内部関係者は、「この件についてはまったく知らなかった」と弁解している。しかし、別の参加者からは、この問題が深刻化する可能性を強調している。

 この参加者(匿名希望)は、「これは、オープンソースの本質がコミュニティであり、コードであるという理想主義を葬る棺に新たな釘を打ち込もうとするものだ」と話している。

 「今日、オープンソースビジネスはクローズドソースビジネスと同様にいやらしくなり、同じ手段を用いて競争を封じ、自社のブランド(これは個人の主観によって異なる)を守ろうとしている。問題は、コミュニティが立ち上がって彼らの下を去るのか、それともオープンソースの強力な流通チャネルを原動力とする独占要因が非常に強力になったために、コミュニティが既に囲い込まれてしまったのかということだ」(同参加者)

オープンソースは金儲けになる

 ニューアード氏は、「レッドハットは『何としても利潤を追求する大企業的存在』というカテゴリに正式に移行した。『オープンソースは金儲けになる』と標榜してきた企業とはそんなものだ」とブログ記事の最後に記している。

 これとやや関連した問題に関して、Java開発ツールセット「MyEclipse」のメーカーであるGenuitecのマー・マスリCEOは、自身のブログの中でJBossを批判している。マスリ氏が問題にしているのは、TheServerSide.comのフォーラムで同氏が目の当たりにした行動だ。同氏によると、このフォーラムでJBossの開発者が寄ってたかってGenuitecを攻撃したという。この行動の背景には、「EclipseCon」カンファレンスにおいて、レッドハットがExadelのJavaツールを管理し、それらをJBossの傘下に収めようとしているというニュースが流されたことがある。JBossの開発者たちは、これはGenuitecの仕業だと考えて、フォーラムでGenuitecを攻撃したようだ。

 マスリ氏はブログ記事の最後に、「長い記事になったが、わたしの最終的な結論はこうだ――オープンソースをベースとするビジネスをしているのであれば、恩を仇で返すようなまねをするなということだ。また、自分のコードが他人に使われるのが嫌なのであれば、最初からオープンソースとして提供するなということだ」と記している。

「コミュニティを傷つけた」

 コロラド州デンバーに本社を置き、最近廃業したオープンソースのコンサルティング会社であるVirtuas Open Source Solutionsの元CTO(最高技術責任者)、ビル・ダッドニー氏は、ブログ記事に次のように書いている。「HibernateはJBoss/レッドハットが商標として登録した。これは、わたしを含め、このフレームワークを学ぶのに長い時間を費やした何千人ものコンサルタントが、Hibernate サービスという宣伝文句を使って利益を得ることができないことを意味する。『ORマッピング』(オブジェクト/リレーショナルマッピング)サービスという表現を使うことはできるが、お金を持っている人はORマッピングという言葉を知らず、聞いたこともないような技術に関する知識に対してお金を払おうという人はいない」。

 「HibernateビジネスからMyEclipseを排除しようとすることで、彼らはHibernateコミュニティを傷つけているのだ。わたしの(以前の)会社が『Hibernate Services』と銘打ったサービスを提供するのを禁じることで、彼らはコミュニティを傷つけたのだ。みんなで荷物をまとめて、よそに行こうではないか」とダッドニー氏は付け加えている。

原文へのリンク

(eWEEK Darryl K. Taft)

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