CGMM、新広告配信システムを5月に発表

ブロガーが表示する広告を選べるマッチングシステム

2007/03/30

 コンテンツ連動型広告では媒体側に主導権がない。配信される広告を選べない。

 そのためサイトの内容やコンテンツの文脈と直接関係のない広告や、コンテンツ制作者にとって好ましくない広告が配信されることがある。例えば「テロについて遺憾に思う」という文章を掲載しているにも関わらず旅行代理店の広告が入るといったことだ。マッチング広告における、こうした“ミスマッチ”がたびたび起こる。広告スペースを売る媒体側は広告の内容をコントロールできないという問題がある。また、広告を出す側にしても、内容と無関係の広告ではクリックレートの低下するという問題がある。

cgmm02.jpg CGMマーケティング取締役副社長 小尾一介氏

 こうした中、CGM(Community Generated Media)を新たな広告媒体と捉え、より効果的なマッチングを行う広告配信システムが登場してきた。デジタルガレージや電通などの合弁会社でCGM関連事業を手がけるCGMマーケティングは、「広告スペースを販売する側が、広告主となる企業や商品を選択できるシステムを開発中で、5月に発表予定」(CGMマーケティング取締役副社長 小尾一介氏)だ。新システムは、同社が10月に発表した米Etologyとの資本・業務提携により実現したもので、広告主と広告の受け皿となる媒体を結びつける新しい仕組みを提供する。詳細は明かされていないが、ブロガーなどコンテンツ制作者が自ら広告の種類や広告主を選択できるようになる。

新たにWikiaと提携、新広告メディアとして開発

cgmm01.jpg Wikipedia創設者で米Wikia CEOのジミー・ウェールズ氏

 CGMマーケティングは、グループ企業が保有するCGMサイトとして、購買サポートサイトの「価格.com」、旅行情報サイトの「フォートラベル」、ブログ検索サイトの「テクノラティジャパン」などを持つほか、3月30日には米Wikiaとの提携も発表している。WikiaはWikipediaで使われているCMS、「MediaWiki」を使ったWikiコミュニティで、「Wikipediaを図書館や百科事典に例えるなら、Wikiaの個々のトピックは雑誌のようなもの」(米Wikia CEOのジミー・ウェールズ氏)。現在、「マペット」「スターウォーズ」「長崎」などテーマごとに約2000トピックでコミュニティを形成しており(日本語は37トピック)、参加ユーザーによる雑多な記事が掲載されている。「Wikipeiaに比べるとWikiaの記事は中立性は低い」(ウェールズ氏)が、参加ユーザーによる投票機能やランキング機能を備えている。特定のテーマに関心のあるユーザーが集まるため、広告媒体の可能性も高い。

cgmm03.png Wikiaのトピック例

 現在Wikiaは年率300%でコンテンツが増えており、CGMマーケティングでは今後、Wikiaのコミュニティ開設を支援していきつつ、広告媒体としての活用をにらむ。「米国ではすでに郵便番号別のコミュニティもあり、そうしたコミュニティに対して地域ローカルの広告を出すなど、バナー広告以外の展開も考えている」(小尾氏)

(@IT 西村賢)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)