金銭的やり取りなしにブロガーの自主性をシステム化

炎上しないブログマーケティング

2007/04/11

 ブログやSNSでの商品の評判が、マスメディアによる広告と同等か、生活用品や美容品などジャンルによってはマスメディアを超える影響力を持ち始めた。それに伴い、ネット上の“口コミ”をマーケティングツールとして使う動きが活発になっている。その一方、企業とブロガーの間で金銭的授受を伴うブログマーケティングでは、公正さを欠くとして多くのブロガーが反発。昨年末から、企業から報酬を得て記事を書いたブロガーのサイトが“炎上”する騒ぎとなるなど、この新しいマーケティングツールの使い方は、いまだ模索段階だ。

金銭的インセンティブを排除した新アプローチ

amebapr01.jpg サイバーエージェント アメーバ事業本部長 渡辺健太郎氏

 160万のブロガーを擁する大手ブログサービス「Ameba」(アメブロ)を運営するサイバーエージェントと、マーケティングPR会社のブルーカレント・ジャパンは共同で、企業とブロガーをつなぐ、新しいブログマーケティングのプラットフォームを開発した。

 最大のポイントは商品を売り込みたい企業と、その商品を記事化するブロガーの間で金銭的な授受を行わないこと。「商品について記事を書けばアメブロ内で発行しているポイントを付与することも当初は考えたが、社内で議論した結果、お金やポイントは排除した。100本の記事を書いて1000円もらいたいとはブロガーも思っていないはず」(アメーバ事業本部 営業企画部 AmebaPRグループ マネージャー 小林哲也氏)。

amebapr02.jpg ブルーカレント・ジャパン 取締役社長 本田哲也氏

 「アメブロ・インフルエンサー・プログラム」と名付けられた新方式では、商品やイベント情報について記事を書いてほしい企業は素材を提供するだけだ。記事化するかどうかはブロガー次第で、「自主性を尊重する。そのことで記事のクオリティ向上、読者からの信頼性向上、炎上リスクの軽減ができる」(ブルーカレント・ジャパン 取締役社長 本田哲也氏)としている。

 記事を書くのは、影響力の強い“インフルエンサー”と呼ばれるブロガー。ページビュー、ユニーク読者数、記事を読んだほかのインフルエンサーの数およびそのインフルエンサーのページビューなど、複合的な指標で影響力、波及力の強いブロガーをインフルエンサーとして抽出する。ブロガー同士のつながりを定量的に抽出して指標化するシステムが、サービスのポイントの1つだ。

 企業は、美容、グルメ、映画など43のジャンルのそれぞれで影響力の強いインフルエンサーをリストから選び、素材提供と記事化の提案をする。オファーを受けたインフルエンサーは自分の判断で、記事として取り上げるかどうかを決める。

 記事は商品に対して肯定的でも否定的でもかまわない。むしろ「公正な視点で書かれていて、クオリティが高ければ高い評価となる」(前出小林氏)。記事作成のガイドラインとして「自分が興味を持ったものだけ記事化する」「誹謗中傷はしない」などを設ける。

ブロガーのインセンティブは番付での昇進

 記事を書くブロガーのインセンティブは金銭ではなく、ブロガーとしての評判を上げること。サイバーエージェントでは「口コミ番付」と名付けられたゲーム性の高い評価システムを開発。序の口、序二段など幕下から始まり、十両、前頭、小結、関脇、大関、横綱と、記事への評価によって昇進していく。昇進の節目ではノベルティーグッズなどがもらえるが、金額的には大きくない。

 ブルーカレントは、ブロガーの選定、ブロガーへのアプローチなどソフト面でサポートする。ブログマーケティングに加え、雑誌やテレビといった従来のマスメディアへの同時露出もオプションで請け負う。企業が支払う基本料金は100万円からで、この料金にはシステム利用料、50人のインフルエンサーへのアプローチ代金が含まれる。また記事化された場合には成果報酬として1つの記事当たり1万8000円〜3万5000円を支払う。経験的にはオファーを受けたブロガーのうち、3割前後が記事化するという。

 サービスの販売はブルーカレントが担当し、すでにフィリップス、カルピス、ウォルトディズニー・ジャパン、ホテルオークラ東京ベイなどが導入を決定している。今後はオンラインでスイーツを販売する中小規模のECサイトなどにも拡販を進め、年内に2億円の受注を見込む。

(@IT 西村賢)

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