エンタープライズ向け売り上げが上昇中

ネットワークの役割がどんどん重くなってきている〜クレンズCEO

2007/04/11

 米ジュニパーネットワークス 会長兼CEOのスコット・クレンズ(Scott Kriens)氏が4月11日に来日。今後の事業方針などを説明した。クレンズ氏は、従来の同社の売り上げの中心はキャリア・サービスプロバイダ向けだが、徐々にエンタープライズ(大企業)分野が拡大していることを示唆した。

クレンズ氏写真 米ジュニパーネットワークス 会長兼CEO スコット・クレンズ氏

 クレンズ氏は、まず同社の売り上げの近況を説明。2006年の売り上げは23億ドルで前年同期比12%増だとした。日本の売り上げはこのうちの約10%程度。売り上げのうち、3分の2がキャリアやサービスプロバイダ向けで、残りの3分の1がエンタープライズ(大企業)や官公庁だとした。この点について、クレンズ氏は「段々売り上げ全体に占めるエンタープライズ向けの売り上げの割合が増加してきている。これはわれわれがエンタープライズに積極的にアプローチしているというよりも、エンタープライズ側で『当社もNTTやKDDIと同程度のネットワークを構築したい』という欲求が強くなってきているからだ。もはやキャリアでなくても、それと同じくらいネットワークを重要視する企業が増えている証拠だ」と説明した。

 同氏によると、23カ国で4000人のエグゼクティブに「今後5年間でビジネスがどのように変わるか?」という質問をしたところ、「戦略実行と革新がさらにスピード化する」「テクノロジは必須に」「競争力を強化するツールとしてのIT」の3つが挙がったという。さらに、Information Week 500企業のほぼ半数のエグゼクティブが、生産性を上げる最も効率的な方法に「ネットワーク帯域の拡張とパフォーマンスの引き上げ」を挙げた。これらの調査結果から、同氏は「ITの新しい方向性を目指すには新しい要件が必要になってきている」と分析。これらの要件を満たすためには、ビジネスのスピードを上げる“ネットワークパフォーマンス”や安全性を確保する“リスク管理”、柔軟に寄与する“オープンスタンダードとパートナーシップ”の3点が必要だとし、「ITが従来のコストセンターという認識から、競合他社と差別化を図るための武器に変わりつつあることを多くの企業が認識し始めたようだ」(クレンズ氏)と強調した。

 ジュニパーのエンタープライズ向け製品の売り上げアップの背景には、このようなエンタープライズ企業のニーズ変化に加え、「1カ国で600万〜700万ユーザーを抱える超巨大キャリアを支えている弊社製品の信頼性を、エンタープライズ向け製品に流用している点が大きい。当社の強みは中小企業向けの数十万円の製品から数百万ドル規模の製品までラインアップに備えていることだ。あらゆるニーズに応える点にある」と説明。「ネットワークは、従来の『インターネットに接続するツール』から『ミッションクリティカルな資産』へ変化してきている」と指摘し、それらを供給するジュニパーの売り上げの見通しが明るいと強調した。

(@IT 大津心)

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