パートナー15社と連携

リソース、ノウハウ不足が深刻なID管理市場、オラクルの解答は?

2007/04/24

 3700社あまりの上場企業が対応を義務付けられる日本版SOX法(金融商品取引法の一部)。内部統制の整備を支援するコンサルタントや公認会計士の人材リソース不足がかつてから指摘されているが、日本版SOX法対応に伴うIT統制の整備でも人材リソースの枯渇が問題視されている。IT統制のキモともいわれるアイデンティティ(ID)管理ソリューションを提供する日本オラクルはパートナーと連携し、人材リソースの解消に取り組む。

oracle01.jpg 日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏

 日本オラクルは4月24日、協力パートナー15社とID管理ソリューションの推進組織「Oracle Identity Management Partner Committee」を立ち上げたと発表した。オラクル米本社の担当者との定期ミーティングや情報共有、製品連携アダプタの相互利用などを行ってパートナー各社の人材を育てる。オラクルは研修サービスの「Oracle University」にもID管理ソリューションに関するコースを設けて、エンジニアを育成する。パートナーのID管理関係のエンジニアは現状70人程度だが、1年で300人にすることを目指す。

 日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏は「日本版SOX法の整備を進めるグローバル企業の中にはすでにアクセスコントロールの不備を監査人から指摘される例がたくさん出てきている」と話し、ID管理ソリューションに本格的に取り組む企業が増えるとの考えを示した。ID管理ソリューションの構築を予算化する企業が増えるにしたがって、各社のエンジニア不足は深刻になることが予想され、オラクルは人材育成を急いでいる。

 ID管理についてのノウハウ不足も深刻だ。三澤氏は「ID管理のプロジェクトでは1つ1つが新しい経験」と指摘し、特に大規模プロジェクトの難しさを強調した。そのためオラクルは大規模なID管理プロジェクトの経験がある海外のコンサルティングファームと提携し、そのノウハウを輸入し、パートナーと共有する。

 また、オラクルは導入の長期化によるコスト増を避けるために、「Oracle E-Business Suite」(HR)に対応したテンプレートとコンサルティングサービスのパッケージ「Oracle Identity Manager Accelerator for HRM」の提供を開始した。同パッケージを使った場合のID管理ソリューションの導入期間は最短3カ月。価格はライセンス費用を含まずに2000万円から。

(@IT 垣内郁栄)

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