「顧客とSEの消耗戦」
IT業界の「3K問題」 NTTデータ社長の考えは?
2007/05/09
「新3Kともいわれている」。NTTデータの代表取締役社長 浜口友一氏は5月9日の決算発表で、日本のITサービス業界をこう憂えた。決まった予算の中で顧客企業が機能の追加を求め、ITサービス企業が拒否するという状況が多く、「顧客とSEの消耗戦になっている」(浜口氏)ことが背景にある。NTTデータはITサービス業界の3K返上に向けて活動を始めた。
NTTデータの代表取締役社長 浜口友一氏エンジニアが「きつい、厳しい、帰れない」の3K状態に陥ってしまうのは要件定義が正しく行われないのが原因と浜口氏は見る。1度は要件を決めても顧客企業の都合で開発中に変更されてしまい、大幅な手戻りが起きてしまうこともたびたびだ。3K問題の解決には上流工程の改善が欠かせない。
強固な要件定義を行うためNTTデータはシステム開発の契約を2段階に分けることを始めている。1段階目では顧客とシステムデザイン契約を結び、コンサルティングにより、システム開発のグランドデザインや要件を決定する。要件定義を「見える化」し、顧客とNTTデータ側で意見の相違がないようにしておく。2段階目で実際の開発請負契約を行う。NTTデータが開発した透明度が高い見積り手法を使うことで、顧客の理解度を上げる。SLAも導入し、システム開発を定量的に評価する。このように契約を2段階に分ける考えはフェージング契約と呼ばれる。
NTTデータはさらに開発手法の統一も進めている。NTTデータ内だけでなく、関係会社や協力会社にも統一した開発手法の採用を求めて、システム開発の品質や生産性の向上を狙う。
浜口氏は国内ITサービス業界について大規模システム開発の減少やダウンサイジングの進展などで、「全般的に利益が落ちていく」と指摘。利益を押し上げるには「請負仕事だけでなく、相当変革をしていかないといけない」として「NTTデータはシステムを売る企業から変革を売る企業になる」と強調した。
売り上げが1兆円突破
NTTデータの2007年3月期連結決算は売上高が1兆449億円(前年同期比15.2%増)だった。公共、金融、法人の各セグメントで大幅に増収。営業利益も92.6%増の902億円で、増収増益だった。経常利益は857億円で、104.1%の増加。売上高営業利益率は8.2%だった。
NTTデータは2008年3月期から2010年3月期までの中期計画を発表し、増収増益と売上高営業利益率10%を目指すとした。浜口氏は「今年度からの中期計画では、利益率という質の追求を進めていく」と話した。
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