ジミヘンの著作権管理にも貢献

SOX対応が終わったらBIへの投資が始まる? 〜BOシュワルツ氏

2007/05/11

 日本ビジネスオブジェクツは5月11日、報道関係者向けの説明会を開催し、来日中の米ビジネスオブジェクツ CEO ジョン・シュワルツ(John Schwarz)氏がBI(Business Intelligence)の方向性を語った。

シュワルツ氏写真 米ビジネスオブジェクツ CEO ジョン・シュワルツ氏

 シュワルツ氏は、まず事例を紹介。2005年にハリケーン・カトリーナが米国南東部を襲った際に、米国赤十字は赤ちゃんを持つ親のためにクレジットカードを発行。そして、あるカメラマンがそのクレジットカードを持った親子を高解像度で撮影し、Webサイトに掲載したところ、クレジットカード番号などが分かる状態になっていた。

 すると、掲載2分後にはそのクレジットカードで6万5000ドルのフェラーリを購入しようとする者が出現したが、ビジネスオブジェクツのシステムは「発行した場所からあまりにも離れた場所で利用している」などの諸条件から、その決済を拒否。不正利用を未然に防ぐことができたという。シュワルツ氏はこの点について、「クレジットカード発行元のMasterCardは、6万5000ドルの損失を防ぐことができた。これは、当社のシステムに住所を判別する機能が搭載されていた点が大きい。この件のように、諸条件を組み合わせて総合的に分析することは非常に重要になってきている」と説明した。

 このように、ビジネスオブジェクツは不正な住所データを検知したり、不足した部分を補完する機能を持っているため、旅行サイトのtravelocityも採用している。シュワルツ氏は「航空券の発送を行う旅行サイトでは、住所の正確性は非常に重要だ。この点から、他社とも協力して、より顧客のニーズに応えられるシステム開発も行っている」とコメントした。

 また、同社では「Business Intelligence 2.0」を目指し、「ネットワーク革命」「ユーザー革命」「コミュニティ革命」「アプリケーション革命」「プラットフォーム革命」という5つの革命に取り組んでいるという。ネットワーク革命では、医療用具を販売している米Owens&Minorを例に挙げた。医療用具を扱うメーカーは約4000社存在し、非常に競争が激しい。その中で、同社はオンラインカタログを作成し、販売を開始したところ、年率36%の成長を遂げたという。シュワルツ氏は「これこそがネットワーク革命だ。ネットワーク革命では、あらゆる人がデータにアクセスできるようになることが重要なのだ」と説明した。

 ユーザー革命では、フランス・パリにあるディズニーランドパリの例を紹介した。ディズニーランドパリは10年以上前に開園し、年間利用者も1200万人を超える人気だが、利益率はフロリダのディズニーワールドの半分以下だった。分析した結果、天候がポイントだと分かった。一年を通して晴れの多いフロリダに比べて、パリは雨が多いため、フロリダよりも室内で行動することが多かったという。この点から、パリは大幅にビジネスモデルを変更し、屋外の売店などを見直した。その結果、パリはフロリダに次いで世界2位の利益率にまで上昇したという。

 コミュニティ革命では、米国で牛乳などを販売するオーガニックファームズを紹介。このブランドは、1000以上の酪農家たちによる協同組合で、スプレッドシートなどを用いて品質を管理し、乳牛の特定や39回におよぶ品質検査に対応しているという。アプリケーション革命では、SaaSを代表とするWebアプリケーション同士のマッシュアップを例に出し、「Web 2.0やSaaSの登場により、マッシュアップが盛んに行われるようになった。その結果、さまざまな見える化が実現している」(シュワルツ氏)と説明した。

 そして、最後のプラットフォーム革命では、故ジミー・ヘンドリックス氏の著作物などを保存しているIronMountainという会社を例に挙げた。同社はジミー・ヘンドリックス氏にまつわるあらゆる著作物などを保管しているが、音楽会社の要請があるとそのデータを数分以内にアクセスできなければならないという。同社が持つ49カ所に保管しているデータを数分以内にアクセスできるような管理をビジネスオブジェクツは実現しているとした。

 シュワルツ氏は「当社の他社との最大の差別化ポイントは、『オープン』『社内外からデータを収集できる』『統合できる』の3点だ。これらは競合他社は実現できておらず、今後1〜2年は追い付かれることがないだろう。『BI分野は今後、最も投資の対象になる分野だ』という調査結果もある。日本も日本版SOX法などのコンプライアンス対応が終わり、一息ついたらBI分野への投資が始まると考えている」とコメント。「例えば、銀行が分かりやすいだろう。日本の銀行は、ここ数年大型合併の影響でシステム統合をするだけで手一杯の状況でほかのことにまで手が回らなかった。しかし、それらが一段落したいまは積極的にBIへの投資を開始している。この状況がほかの業界でも起こるはずだ」と説明し、今後日本でもBIへの投資が積極的になっていくとの予測を示した。

(@IT 大津心)

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