一橋大・伊藤教授が指摘

企業価値は精神論では上がらない

2007/05/30

 一橋大学大学院 商学研究科教授 伊藤邦雄教授は5月30日、日本ヒューレット・パッカードのプライベートイベント「HP WORLD Tokyo 2007」で基調講演し、「これからの企業の競争力を培うには、自社のコーポレートブランド価値を高めていくことが重要だ」と強調した。伊藤氏は「コーポレートブランドの意識向上を精神論に留めてしまうのではなく、ITの力を有効に使って実現して欲しい」とも話した。

 伊藤氏は、企業の組織細分化や多角化により、事業部間の壁ができ、社員の視野が狭くなってしまっていると指摘。結果として社員が全社的な課題に関心を失っていると説明した。さらに、年功序列の人事制度が若い人材のやる気を削いでいる。「それらが企業のコーポレートブランド価値低下につながっていく」と伊藤氏は訴えた。

brand01.jpg 一橋大学大学院 商学研究科教授 伊藤邦雄教授

 社員のやる気をアップさせて、企業のコーポレートブランド価値の向上につなげるにはどうすればいいのか。伊藤氏は、企業の抱える経営問題を「見える化」して社員に危機感を持たせる、社員のやる気を上げるような仕掛けづくり、事業部間の相互学習の促進などを挙げた。「HPが統合した当時は、(経営面で)厳しい状況だったが、自社のコーポレートブランド価値を高めたことで、それを打破した」(伊藤氏)

 社員間のコミュニケーション活発化や、経営課題の見える化などで有効なツールになるのがITシステム。伊藤氏は「精神論では全体最適経営は不可能」と話し、ITシステムの積極採用を促した。

(@IT 小林由美)

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