Salesforce.comがグーグルと提携?

Google Gearsをじっと見守るSaaSベンダ

2007/06/01

 先ごろリリースされた、開発者がオフラインアプリケーションを開発できるオープンソース技術「Google Gears」は、オンデマンドアプリケーションのユーザーがさらなるオフライン機能を求めていることを示唆する兆候の1つだ。

 業界アナリストによると、求められているのは、スマートフォンなどの最新通信技術を使って、オンデマンドやレガシーのデータシステムのさまざまなデータソースへの、シームレスなオフラインアクセスを可能にする改良された開発環境だ。

 Salesforce.com、NetSuite、RightNow Technologiesなど確立されたSaaS(サービスとしてのソフトウェア)ベンダは、以前からオフライン機能を提供してきた ――Salesforce.comは2003年にOffline Editionを導入した――が、さらなる改良が必要だという点で専門家の意見は一致している。

SaaSベンダの次のフロンティア

 オフラインデータアクセスを提供するSaaSアプリケーションにとって、次のフロンティアは、特定の業務プロセスに合わせて、オンデマンドアプリケーションとオンプレミス(自社運用)アプリケーションのデータへのアクセスを提供することだと、Thinkstrategiesのアナリスト、ジェフリー・カプラン氏は語る。

 「すべての主要ベンダと新興SaaSベンダが、さまざまなシナリオ――どんなレガシーアプリケーション、オフライン環境をユーザーが必要とするか――や、オンライン時には自動化されたシステムに適切に統合され、顧客の関与が減少するように適切に統制する方法を予測できるやり方で、マルチテナント環境に一定レベルの機能を組み込もうとしている」(同氏)

 「この取り組みは確かに進行している。わたしの感覚では、(SaaSベンダは)このニーズを満たすために積極的に努力している」

 必要とされているのは、もっと多くの手段でより多くの情報にアクセスできるよりシームレスなオフライン機能と、オンデマンドシステムでもレガシーシステムでもオフラインで情報にアクセスできる機能を、企業が開発できる開発環境の改善だと業界アナリストは言う。

 「オフラインクライアントはたいてい制限が多い。Salesforce.comでは情報の一部しかXMLデータ転送として利用できないため、真の完成したオフラインクライアントとは言えない」とYankee Groupのアナリスト、シェリル・キングストン氏は言う。「情報の入手について考えた場合、ユーザーはいつでも、どこでも情報を求める。一部のWebベースアプリケーションはそれを実現していない」

 オンデマンドベンダはオフラインデータアクセスの統合においてリードするだろう――例えばSalesforce.comユーザーはSalesforce.com環境からレガシーCRM(顧客関係管理)データへのアクセスを望んでいる――が、ほかのベンダもオフライン機能の強化に取り組むだろうとアナリストは言う。

 Yankeeのキングストン氏は、よりインタラクティブなGUIを可能にするAdobeのツールを挙げた。「いずれはその一部がオフラインで使えるようになるだろう」

Salesforce.comとグーグル提携のうわさ

 その結果、ベンダが自社製品に統合できるもっと成熟した開発ツールが登場するだろうとアナリストは言う。Google Gearsはその好例だが、現時点ではオンデマンドベンダがこの技術を自社の開発環境に取り入れるのかどうか、正確に何が可能になるかは不明だ。

 Salesforce.comがGoogleのSaaSプロダクティビティツールを利用する提携を結ぶ――一部では、早ければ6月4日の週に発表されると予測もある――という最近の噂を考えると、Google GearsとSalesforce CRMアプリケーションの組み合わせは実現しそうだ。

 Salesforce.comのプロダクトマーケティングディレクター、アダム・グロス氏は、電子メールであいまいなコメントを出した。「Salesforce.comは2003年から顧客にオフライン機能を提供してきた。Gearsなどの新しいWebブラウザ技術はこの機能をもっと強化する」

 RightNow TechnologiesとNetSuiteからは本稿掲載時までにコメントを得られなかった。

原文へのリンク

(eWEEK Renee Boucher Ferguson)

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