自動化進め品質向上狙う

NTTデータ、モデル指向開発を強化

2007/06/11

 NTTデータは6月11日、システム開発におけるモデル指向開発への取り組みを強化すると発表した。モデル指向開発向けのソフトウェア「medini」(メディーニ)を持つ独ikv++と資本提携し、6月1日に設立された日本法人を通して協業を行う。またNTTデータは、medini上に構築した自社開発のツール群「FLEXITE」を用い、モデル指向の開発プロジェクトの比率を増やす。具体的には、2007年度中には5プロジェクト前後を、また、2010年までにはWeb開発関連プロジェクトの約1/4に当たる年間50プロジェクト程度をモデル指向開発で行うという。

nttdata01.jpg NTTデータ 公共ビジネス推進部 技術戦略部長 斉藤信也氏

 従来のシステム開発では要求定義や詳細設計といったドキュメントはオフィス文書の形で作成されてきた。日本語など自然言語で書かれた開発成果物では意味が曖昧で誤解を引き起こしやすく、コンピュータが読むこともできないため自動化は困難だった。UML(Unified Modeling Language)などの標準化されたモデル表現を利用することで、「人間にもコンピュータにも読めるものにし、自動化できる部分は自動化して品質を上げる」(NTTデータ 公共ビジネス推進部 技術戦略部長 斉藤信也氏)。自動化できるのは、(1)上流工程の成果物から下流工程の成果物を自動生成、(2)仕様変更時に関連成果物への変更を自動的に行う、(3)仕様変更時の影響範囲分析、(4)成果物間の矛盾検出など。ビジネスモデリング→要求定義→外部設計→内部設計→実装→テストと上流工程から下流工程に行くに従って自動化できる割合は増え、現在のところ、平均的には5〜6割のコードを自動生成でき、そのことによって「少なくとも2〜3割の工数削減につながる」(斉藤氏)という。自動生成するコードは、Eclipseがサポートする言語であれば対応可能。

nttdata02.jpg 現在、自動化が可能な作業(クリックで拡大)

 独ikv++は、独フラウンフォーファー研究所のスピンアウトとして1994年に創業。当初は同研究所の研究成果を産業分野で活用するというミッションを掲げていたが、2002年からはソフトウェア工学、特にモデル駆動型プログラミングの分野に特化。NTTデータとは2002年から共同で研究開発を進めた。NTTデータ以外の顧客として国内では日立INSソフトウェア、トヨタ自動車グループ、また国外ではサムスン電子や旧ドイツテレコムのソフトウェア開発部門であるT-System、フランスで軍事・航空関連のシステム開発を手がけるターレスなどがあるという。UMLのほか自動車産業で使われるモデリング言語もサポートする。

 NTTデータでは自社開発したツール群、FLEXITEを外販する予定はないが、社外で技術コンサルティングを行い、モデル指向開発を検討中の顧客をサポートする。

 古くから存在するモデル指向開発に改めて着目した理由として、斉藤氏は「安いPCでも複雑に絡み合ったモデルの処理が高速にできるようになり、実用的になった。また、かつて独自に行っていたモデリングについてOMGなどによる標準化が進んだ」と話す。また、Ruby on Railsのような開発フレームワークとの違いについては、「Ruby on Railsはコード生成は自動化しているが、設計やテスト、ドキュメンテーションまではやらない。実装というのはプロジェクト全体の2割でしかない」と話した。

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(@IT 西村賢)

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