ハーフラックサイズで1.6Tbpsを実現

ジュニパー、水力発電1個分の節電が可能なエコルータ

2007/06/12

 ジュニパーネットワークスは6月12日、通信事業者向けコアルータ「Tシリーズ」の新製品「T 1600」を発表した。2007年第4四半期から出荷開始予定。ハーフラックサイズで業界最高水準となる1.6Tbpsを実現し、「環境に優しいルータを作ることができた」(同社 代表取締役 大須賀雅憲氏)とアピールした。

大須賀氏写真 ジュニパーネットワークス 代表取締役
大須賀雅憲氏

 T 1600は同社のコアルータ「Tシリーズ」の新製品で、T 640の後継機に当たる。T 640と同じハーフラックサイズだが、スループットは640Gbpsから1.6Tbpsに増強された。大須賀氏は、「2005年ころからインターネット上では、skypeやflickr、myspace.comといった新しいサービスが次々に登場したり、新たなプレーヤーが登場するなど、使う人間の意識が大きく変わった。また、それに加えてネットワーク帯域への負荷も上がっている」と語り、高いスループットを持つコアルータ製品への需要が高まっていると説明した。

 T 1600の特徴には、「ハーフラックで1.6Tbpsを実現したスケーラビリティ」「シャーシやインターフェイスカードを再利用できたり、省電力化を実現した経済性」「モジュラー型OSのJUNOSやサービス重視のポリシー制御」の3点が挙げられるという。

 スケーラビリティでは、従来の最高レベルの製品が1ラック強で1.28Tbpsだったことから、ラック当たりの容積を半分以下にできたとした。消費電力は、従来製品が1万6500Wから約49%減の9100Wになった。さらに、重量は939kgから67%減の308kgとなったという。この点について大須賀氏は、「容積や消費電力、重量はキャリアの投資対象であるため、これらを改良することは、キャリアの投資対効果を高めることにつながる。特に消費電力の問題は大きく、仮に数年後にネットワーク利用量が爆発的に増え、日本で2000〜3000台のコアルータがT 1600に置き換わったとすると、水力発電所の1個所の年間発電量を節約できる計算になる。これは相当環境に優しいコアルータだといえるだろう」とアピールした。

T 1600写真 T 1600の筐体イメージ

 また、T 640からのアップグレードを容易にするため、FPC(Flexible PIC Concentrator)やPIC(Physical Interface Card)などのパーツを共有化。電源モジュールやスイッチインターフェイスボード(SIB)、クラフトパネルを交換するだけでアップグレードすることが可能となった。これにより、無停止/無停電での置き換えも可能だという。

 大須賀氏は、「省電力化は大きな問題だ。当社では新型のASICを開発し、100Gインターフェイスにも対応した。100Gインターフェイスは現在IEEEで標準化を進めているが、当社はFPC当たり200Gbpsのスループットを実現しておりハードウェアがすでに対応している。従って、標準化が決まり次第インターフェイスも対応させて、100Gインターフェイスに対応することができる点もポイントだ」とコメントした。

(@IT 大津心)

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