SAPがパッケージプログラムを刷新

目指せ“1億円で入れられるSAPのERP”

2007/06/13

 SAPジャパンは6月13日、中堅企業向け戦略の一環として、ERPパッケージ「SAP All-in-One」の認定プログラムを刷新すると発表した。SAPジャパン バイスプレジデント 営業統括本部 地域営業本部 神戸利文氏は、「いままでのプログラムは“なんでもあり”的な一面があったが、今回は厳しい認定基準を設けた。今回のプログラムによって、納得の価格や低リスクなどを実現できるはず」と語り、新プログラムに自信を見せた。

神戸氏写真 SAPジャパン バイスプレジデント 営業統括本部 地域営業本部 神戸利文氏

 新しいプログラムは、中堅企業を顧客に持つパートナーを認定する制度。認定企業はSAPのサポートの下、「SAP All-in-One」のパッケージテンプレートを提供できる。現在、認定プログラムに参加する予定企業は21社。2007年7月〜10月からサービスを開始する予定だ。

 SAPによると、中堅企業におけるERPの導入・検討案件は二桁成長しているものの、ERPへの投資額は市場全体で減少傾向にあり、1億未満が約半数に及んでいる。このことから、同社では年商50億〜1000億円までの企業を中堅企業と定義。年商500億〜1000億の企業にはSAPの直販による営業体制を強化し、年商50億〜500億円の企業はパートナー経由のチャネル営業を強化していく。神戸氏は、「500億〜1000億円の企業を直販でやるというと、パートナーに『美味しいところを持っていく』と怒られそうだが、この規模の企業は日本に500〜1000社しかない。一方、50億〜500億の企業は2万5000社存在する。それをパートナーに担当してもらいたい」と説明した。

 また、中堅企業ではERP導入に対し、「予算が限られている」「実現範囲が分かりにくくリスクが高い」といった課題を抱いているという。これに対し、SAPでは「納得感ある価格」「明確な適応範囲」「低リスク」といった解決策を提示し、パートナーと共に提供していく。

 新しい認定プログラム「SAP All-in-One」では、「対象業務が細業種にわたって明確である」「各業種の標準業務が事前に定義済みになっている」「導入プロジェクトが6カ月以内に完了できる」「すべて込みの導入費用が明確になっていること」の4点を義務付ける。これらを明確にすることで、中堅企業の課題をクリアできるとした。

 具体的には、対象企業の2万5000社を40〜200種類に細かく分類し、それぞれに合わせたテンプレートを事前に制作する。従来より細かい業種ごとのテンプレートを容易することで、開発工数を減らし、価格を落とせるほかパートナー側も開発工数/人員を減らせるメリットがあるという。

 すでに新しいプログラムを実施している日本以外のアジアパシフィック地域の場合、平均7000万円のコスト削減に成功。インプリ期間は32%短縮、14〜100人日の削減を実現したという。フィット率も70〜80%に上がったため、開発量も減りコスト削減などにつながった。

 神戸氏は、「新しいSAP All-in-Oneは7月に始まるが、実施後のケースではいまのところ1億円前後の案件が多いと推測している。中堅企業では導入金額2億円の壁があるといわれているが、これを破ることを目指す。来年以降も認定企業を数十業種単位で増やしていきたい」と意気込みを語った。

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(@IT 大津心)

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