日本市場の拡大に期待

アバイア CEOが自社売却の狙い語る――「勝つためのゲームできる」

2007/06/14

 米アバイアの社長兼CEOのルイス・J・ダンブロシオ(Louis J. D'Ambrosio)氏は6月14日に都内で会見し、自社を投資ファンドのSilver LakeとTPG Capitalに売却することについて「戦略的なオプションとして選択した。これが株主に対するベストだ」と語った。売却後に上場を取りやめることで「四半期ごとの目標を重要視せずに長期的な戦略を立てられる。業界の2位になるためでなく、勝つためのゲームができるだろう」と話し、投資ファンドが株主になることを歓迎する姿勢を強調した。

avaya01.jpg 米アバイアの社長兼CEOのルイス・J・ダンブロシオ氏

 アバイアの売却額は約82億ドル。アバイアは同じ社名で運営され、「戦略も変わらない。私も続投する」(ダンブロシオ氏)という。アバイアを巡ってはシスコシステムズやノーテルネットワークスが買収に関心を示していたとの報道もあった。ダンブロシオ氏はこの報道について「答えられない」と語った。

 ダンブロシオ氏によるとアバイアは「元々買収対象ではなかった」。業績は好調で、財務状況も良好。主力のIP電話関係のアプリケーション事業が今後も伸びることが予測され、成長への期待が高まっていた。投資ファンドが目を付けたのは健全な財務状況と今後の成長率。アバイアの取締役会も非上場になることでいままで以上に研究開発に投資できるようになり、顧客指向の製品開発が進むと判断した。

 アバイアが得意とするのは電話機やゲートウェイなどのIP電話関連システムと、IPネットワーク上で動かすコンタクトセンターソリューションやメッセージングなどのアプリケーション。ダンブロシオ氏は「アバイアはこれらのコミュニケーション手段を顧客のビジネスプロセスに埋め込んでいく。この領域には他社は立ち入らせない」と話した。

 日本市場についてはIP電話市場でNEC、富士通、沖電気に次ぐ4位(Frost&Sulliva、2006年)、コールセンター向けアプリケーションではトップ(同)と説明する。そのうえで「日本の通信回線の75%はまだIP化されていない。今後、IPネットワークが必要とされる」と指摘し、日本の市場拡大に期待を示した。

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(@IT 垣内郁栄)

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