ローソンソフトウェアの事業戦略

2年後にファッション業界向けERPで1番に、ローソンソフト

2007/06/21

 国内のERP市場では、中堅規模の企業を対象とした新サービスや新製品の投入が目立つ。SAPジャパンは、年商500億円未満の企業を対象にしたERPパッケージ「SAP All-in-One」の認定プログラム刷新を発表し、マイクロソフトはERP製品「Microsoft Dynamics AX4.0」日本語版で国内ERP市場参入を果たした。あるいはオラクルがオンデマンドサービスに資源を傾注し、台頭するSaaS(Software as a Service)ベンダをけん制するなどの動きも見せている。

ローソンソフトウェア写真 ローソンソフトウエア ジャパン 代表取締役社長 浅井ケント氏

 「世界中のメインフレームの50%が日本に集中している」とローソンソフトウエア ジャパンの代表取締役社長 浅井ケント氏は話す。日本においてメインフレームを導入している企業は必ずしも大規模企業ばかりではなく、多くの外資系ERPベンダがターゲットとする中堅、中小規模の企業が多い。そんな中堅、中小企業では、法令遵守、内部統制への対応が迫られるなど法的規制の圧力が以前に増して強くなっている。メインフレームで稼働する基幹業務システムはITベンダが指摘するほど一概にレガシーな存在とはいえないが、法的規制、SaaSに代表される新しい技術の登場などの外部要因が、これらの企業に現行システムの刷新を促しているという状況である。

 日本国内のERP市場は非常に競争が激しい。今後数年はさらに激しさが増すとみられる。そんな市場に対し、ローソンソフトウェアはいくつかのユニークな戦略で地歩固めを進めている。1つは特定の業界に特化すること。同社の強みは、ファッション、製造、小売り、食品・飲料といった業界向けのERPパッケージ販売で実績を積み重ねてきたことである。ただし「売り上げの50%は米国、40%はヨーロッパ地域」(浅井氏)というように、日本を含むアジア地域での存在感を増すことは、同社にとって喫緊の課題である。また、海外企業への導入実績を踏まえ、海外事業を展開する日本企業に焦点を絞るのも特徴的だといえる。

 同社がターゲットとする企業規模は、売り上げ300億〜1000億円程度である。2〜3年を目安とした中期目標として、ファッション業界に特化したERPベンダとして1番になること、顧客数を現在の70社から2倍の140社にまで増加させること、などを掲げている。

(@IT 谷古宇浩司)

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