まず検索のユーザーが増加

検索機能で売り上げアップの新公式――HMVジャパン

2007/06/25

 HMVジャパンは2006年10月末に同社オンラインショップ「hmv.co.jp」の検索機能を刷新した。システム導入を担当した同社のE-Commerce システム部 マネージャーの西王地清訓氏は、「まず検索するというユーザーの行動スタイルに対応した」とサイト内検索の重要性を語る。在庫がある商品でも、検索エンジンでヒットしないと、存在しないのと同じ――という状況がある。

hmv01.jpg HMVジャパンのE-Commerce システム部 マネージャーの西王地清訓氏

 HMVジャパンが導入したのは住友電工情報システムの全文検索エンジン「QuickSolution」。hmv.co.jpは以前、HMVの英国本社Webサイトが採用する米ディーゼルポイントの検索エンジンを導入していたが、「英語での検索は優れていたが、日本語に弱かった」「インデックスを作り直すたびにインデックスが肥大化する」などの問題があり、刷新を検討していた。Googleなど検索サイトの普及で、ユーザーはWebサイト内でも快適な検索を求めている。hmv.co.jpで扱う商品数は200万件で、インデックス対象は200GBにおよぶ。ディーゼルポイントの検索エンジンでは検索結果の表示に時間がかかるなど、ユーザーの満足度を低下させる可能性があると判断した。

 検討したのはQuickSolutionのほか、2製品。ディーゼルポイント製品には検索結果をXMLで返す機能があり、既存システムはそのXMLと連携して動作していた。QuickSolution自体にはXMLを返す機能はないが、他社製品と比べてAPIが充実していた。HMVジャパンが自社でXMLへの変換機能を作成することで、既存の環境を生かすことができると判断し、採用を決めた。

チューニングで海外アーティストに対応

 QuickSolutionは類似検索エンジンを搭載し、高度な自然文検索が可能なことが特徴だ。「あいまい検索」に対応し、正確なアーティスト名や楽曲名が分からなくても検索ができるなど音楽サイトに強みを発揮する。しかし、西王地氏によると「あいまい検索には少しぶれがあり、チューニングが必要だった」。日本のアーティストや楽曲ではそれほど問題は出なかったが、海外には名前が1文字だけのアーティストがいて、希望する検索結果が出ないケースがあった。QuickSolutionはN-gram方式で辞書が不要なのが特徴の1つだが、1文字のアーティスト名に対応するために、辞書を作成し、検索にヒットするようにしているという。

 検索エンジン刷新の効果が最も表れたのはクラシックカテゴリの検索。クラシックは同じ楽曲でもさまざまな指揮者や録音年、演奏者などがある。そのため検索機能で結果を絞り込んで、希望の楽曲を探すことが多い。クラシックカテゴリの詳細検索機能にはキーワードで楽曲を探せる「あいまい検索」機能と、ジャンルやメディアフォーマットを指定できる「絞込み検索」機能を付けた。クラシックファンにはこの詳細検索機能が特に利用されていて、西王地氏によると詳細検索機能は検索エンジン刷新後に利用数が3倍に拡大。売り上げのアップにも結び付いていて、オンラインショップでのクラシック関連の売り上げは前年比で10%増えているという。

(@IT 垣内郁栄)

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