エンタープライズ・ソリューション事業の国内展開を説明

日本向けカスタマイズがこれからの鍵〜ノキア・ジャパン

2007/06/26

 ノキア・ジャパンは6月26日、同社のエンタープライズ・ソリューション事業の国内事業展開に関して、報道者向けの説明会を開催した。説明会では、2007年3月8日付けで同社エンタープライズ・ソリューションズ事業部 カントリージェネラルマネージャーに就任した荒井真成氏が、同事業部の今後の方針などを説明した。

荒井氏写真 ノキア・ジャパン エンタープライズ・ソリューションズ事業部 カントリージェネラルマネージャー 荒井真成氏

 荒井氏は、ノキアが2005年11月に買収した米インテリシンクの日本法人社長を務めており、現在も兼任。現在のノキアの状況について、「ブランド認知力は5位以内に入っており、マクドナルドやコカコーラなどと並ぶ高さだ。しかし、そのほとんどが携帯電話端末によるものだ。携帯電話は今後さらに利益率が下がっていくだろう。当社は早く新しい柱を構築しなければならない。エンタープライズソリューションはその1つで3年半前から始めている」と説明した。

 現在、ノキアが手掛けている事業は大きく分けて3つ。1つ目は大黒柱の「モバイルデバイス」だ。モバイルデバイスでは、従来の主流だったコンシューマ向けのデバイス以外に、企業内のモバイルデバイスを強化していくという。例えば、無線LANにつながる端末やセキュリティを強化した端末などを提供していく。荒井氏は、「『Nokia E61』や『X01NK/Nokia E61』といった法人向け端末を今後も強化していく。法人向け端末では、定額プラン対応へのニーズが高いが、キャリアと交渉し、前向きに進めていきたい」とコメントした。

 2つ目は「セキュリティ分野」。この分野では、ワールドワイドで提携しているチェックポイントと共に、ファイアウォールやVPN、UTM(Unified Threat Management)製品を主に提供。この分野では、エントリーモデルの「IP290UTM」を近日発表するなど、製品を拡充していくとともに、セキュリティモニターサービスやセキュリティマネージサービスといったサービス面も拡充させていきたいとした。

 最後は「モバイル・ミドルウェア」だ。企業内には、OracleやNotes、Exchange Serverなど数多くのデータベースが存在するが、携帯端末側でデータベースの違いを吸収させる処理をさせると非常に負荷が高くなってしまう。そこで、データベースと携帯端末の間にデータベースの違いを吸収するミドルウェアを用意し、共通化したうえで携帯端末に配信する。これには、インテリシンクなども含まれる。

 荒井氏は日本市場について、「日本市場は世界と比較してかなり特殊な市場だ。まず、品質に対する期待値が非常に高く開発コストがかさむ。英語表記をかなり嫌う点も特徴だ。また、パートナー経由の販売がほとんどを占めるほか、情報システム部門がSIerと一緒に開発や運用を行っているなど、他国ではなかなかないユニークな環境がたくさんある。これらを無視せず、『いかに日本向けにカスタマイズするか』が日本市場で成功する要因だと考えている。今後、当社は日本の声を多く吸収する体制作りをしていく」と説明した。

 日本向けのカスタマイズを強化する具体的な施策としては、日本の声をよりノキア本社の開発部隊に届けるために、新しい部署を新設。より、日本向けカスタマイズへの対応を強化する。また、日本独自のパートナーシップを強化。日本だけの販売パートナーを作るなど、日本の流通経路に則したパートナーシップを構築していく。そして、「やはり、ノキアの強みはモバイルデバイス。VoIPを使ったPBXやワイヤレスeメールなどを開発し、この強みを生かしていきたい」(荒井氏)とコメントした。

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(@IT 大津心)

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