使い慣れたOfficeのインターフェイスでSAPを利用可能に

Duetによって1+1=10になる〜マイクロソフト平井氏

2007/07/12

 マイクロソフトとSAPジャパンは7月12日、Microsoft OfficeをフロントエンドとしてSAPを操作できるソフトウェア「Duet for Microsoft Office and SAP」(以下、Duet)の販売を開始した。マイクロソフト 執行役専務 エンタープライズビジネス担当 平井康文氏は、「Duetの登場によってOfficeとSAPが連携することにより、1+1が3とか5、もしかしたら10になるかもしれないくらい革新的なことだ」とコメントした。

握手写真 左)マイクロソフト 執行役専務 エンタープライズビジネス担当 平井康文氏
右)SAPジャパン シニアバイスプレジデント パートナー&マーケティング統括本部長 安田誠氏

 DuetはMicrosoft Officeをフロントエンドとして使い、SAPアプリケーションへのアクセスを簡単にするためのソリューション。設計・開発から販売・サポートまでを、マイクロソフトとSAPが共同で行う。SAPジャパン シニアバイスプレジデント パートナー&マーケティング統括本部長 安田誠氏は、「販売はマイクロソフトとSAPがそれぞれのパートナーなどを通じて行うが、サポートは共同で行うので、マイクロソフトから買ったお客さまがSAPに関する質問をマイクロソフトにしても、SAPから買ったお客さまがOffice製品に関する質問をSAPにしたとしても、それぞれのサポートから相談すれば共同のサポートセンターが対応するので問題ない」と説明した。

 今回日本で販売を開始したDuet 1.0は、米国などでは1年前から販売を開始しており、すでに250社、40万ユーザーライセンスを販売。プロジェクト期間は、これらの海外ですでに導入しているユーザーの事例から見ると、SAPアプリケーション導入済みのユーザーの場合、プロジェクト準備から本稼働まではおおむね2〜3カ月程度だという。クライアント側はOffice 2003以降が必要で、バックエンドはSAP ERP 2004以降に対応する。価格は、SAP側は非公表だが、マイクロソフトが発表する参考価格はクライアント・サーバともに1ライセンス当たり2万8400円。

 具体的には、Outlook上から休暇申請・承認ができたり、Excelのインターフェイスを使ったレポート・分析、営業管理などが可能。そのほか、組織管理や出張管理、予算管理、需要計画などに関しても、SAPアプリケーションからデータをOffice側に受け渡し、ExcelやOutlookのインターフェイス上から閲覧が可能となっている。例えば、AさんがOutlookのスケジュール画面から休暇申請をした場合、Duetの機能を使ってSAPアプリケーションと連動することで、上長のOutlookに承認メールがいき、承認→SAP上に保存される流れとなる。安田氏は、「従来であれば、Outlookで休暇申請までしただろうが、勤怠管理は別のアプリケーションで行っていたはずなので、そのデータを勤怠管理アプリケーションに再度入力→承認するという二度手間になっていた。これをOutlookとSAPがシームレスに連携することで、使い慣れたOutlookのインターフェイス上から簡単に申請・管理が可能になった」と説明した。

画面イメージ写真 Duetの画面イメージ。左がSAP上の需要計画データをExcelで表示したところ。右がOutlookとSAPが連携し、Outlookのスケジューラから休暇申請をしているところ

 Duetの今後の展開は、主に「Duetに対応したシナリオの強化」「定型・非定型のワークフローのサポート」「カスタマイズ・開発ツールの提供」を行う。また、2007年末までに現在の機能に、購買管理、採用管理、契約管理などの機能を追加し、さらに2007 Office Systemに対応する「Duet 1.5」をリリースする。購買機能では、Outlookを使った購買発注の通知や承認ワークフローを提供するほか、契約管理ではWordを使った契約書の作成や共同作業機能などが利用可能となる。

 また、2008年第4四半期には、セールスやレポート機能、サプライチェーン管理機能などを追加した「Duet 2.0」を、さらに次世代Officeが出るタイミングでは業務別シナリオなどを追加した「Duet 3.0」を提供するとした。

 平井氏は、「いままでは、システムに人が合わせていた。これからは人が中心になってシステムに合わせる番だ。当社のMicrosoft DynamicsとSAPが競合すると言われる部分もあるが、SAPが売上高100億円以上の企業を対象にしているのに対し、Dynamicsは中堅中小向けなので特に競合しないと考えている」とコメント。安田氏は、「日本ではExcelを用いた帳票などがかなり多い。これからはそれらExcelに対応したテンプレートや新しい使い方をDuetで提唱していきたい。目標はまず年内に10数社〜20社。来年は100〜200社への導入を目指したい」と抱負を語った。

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(@IT 大津心)

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