研究開発投資による技術革新で高い競争力

日本のIT競争力は世界2位、英エコノミスト・グループ

2007/07/13

 英経済誌「The Economist」を発行するエコノミスト・グループで政治経済に関する分析やデータを提供する事業部門、Economist Intelligence Unit(EIU)は7月11日(現地時間)、独自に開発した算定方法に基づき、64カ国の「IT産業競争力指標」のランキングを公表した。指標の算定には6つの評価軸からポイントを付け、計1〜100点までとした。評価軸は、ITや通信のインフラの充実度、才能やスキルを持つ人材の量と質、知的財産権の保護、研究開発投資の程度、政府による産業政策が有効か、の6つ。

eiu01.png IT産業競争力指標のトップ10(出典:Economist Intelligence Unit)

 1位は米国で77.4点。米国は唯一、すべての評価軸でトップ5にランクインした。2位は特許件数が多く私企業の研究開発が盛んと評価された日本で72.7点。日本は、ほかの評価軸ではトップ5にランクインしていないが、研究開発投資で2位、3位の韓国や台湾に30点近い差を付ける大差の1位となっていることと、同分野が全体の4分の1の高い加重配点となっていることから総合上位に入った。以下、3位が韓国(67.2点)、4位がイギリス(67.1点)、5位がオーストラリア(66.5点)などとなっている(発表資料)ほか、OECD加盟国はおおむね上位にランクしている。中国(49位)、インド(46位)などは人材の豊富さ、人件費の安さという強みがある一方、インフラの整備、知的財産といった点など、ビジネス環境に課題が多いため相対的に低い評価となっている。レポートでは、「賃金や、そのほかの操業コストが上昇するにつれて、競争力維持のために中国、インドの両国とも、より高度なレベルでの技術革新を製品やサービスに適用する必要がある。それには、外資系IT企業を含め、企業活動を行う環境を大幅に改善する必要がある」としている。

 今後、成長が予想される国としてレポートではマレーシア、ブラジル、ベトナムのほか、ヨーロッパではロシア、ハンガリー、ポーランドなどの名前を挙げている。

 レポートでは競争力指標と同時にIT産業従事者1人当たりのソフトウェア、ハードウェア製品の生産高も掲載している。1位は台湾(約39万ドル)、2位は韓国(約31万ドル)、3位はアイルランド(約28万ドル)。日本は8位、米国は7位で、ともに約15万ドル。

(@IT 西村賢)

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