今後はMtoM市場にも注力

年内にNTTドコモの一部モデルがレッドベンドを採用

2007/07/17

 昨今、ワンセグや音楽再生機能などますます多機能化する携帯電話だが、プログラムの増加に伴い、不具合の発生も増加している。つい先日もNTTドコモの「SO903iTV」にデータ消失の不具合が発生し、販売を一時停止している。今回は、このような不具合やプログラムのアップデートが発生した際に、アップデートを無線経由で迅速で行う「Firmware over-the-air(FOTA)アップデートソリューション」を提供している米レッドベンド・ソフトウェアのCEO、ヨラム・サリンジャー(Yoram Salinger)氏に話を聞いた。

サリンジャー氏写真 米レッドベンド・ソフトウェア CEO ヨラム・サリンジャー氏

 米レッドベンド・ソフトウェアは1999年創業。FOTAソリューションを中心に提供しており、モトローラやノキア、LG電子など、現在95機種が採用している。日本のメーカーでは、シャープやNEC、ソニー・エリクソン、三洋電機、日本無線が採用。ワールドワイドでは、2007年第2四半期時点で1億5000万台の端末に同社のFOTAソリューションが採用されているという。

 同社が提供しているFOTAソリューションは、「vCurrent Mobile」を中心に展開。vCurrent Mobileは、携帯電話端末にアップデートが発生した場合、差分だけを配信することが可能だ。最新のバージョン5では、携帯電話で通話中であってもバックグラウンドでファームウェアのアップデートが可能な「Background Updates」や、アップデート実施後に古いバージョンに戻せる「ロールバックアップデート(Revertible Updates)」を搭載している。そのほか、アップデートファイルの圧縮率を10%向上させ、容量の削減を実現したという。

 同社は2005年10月に日本支社を設立。ソフトバンク(旧ボーダフォン含む)のシャープ製品などを中心に提供してきたが、「2007年中にも、NTTドコモの一部メーカーからも当社製品が搭載されたモデルが出てくる予定だ」(サリンジャー氏)とし、NTTドコモからもvCurrent Mobile搭載モデルが出てくることを明らかにした。サリンジャー氏は、「現在、シャープなどに採用してもらっているが、今後さらにメーカーとキャリア双方に向けて交渉を進めてシェアを拡大していきたい。日本の携帯電話のFOTAソリューションにおけるシェア100%を目指す」と意欲を示した。

 また、レッドベンドは現在携帯電話を中心に提供しているFOTAソリューションを「MtoM(Machine to Machine)」にも拡大させていきたいという。具体的には、自動車やテレメトリック業界などが対象となる。例えば自動車業界の場合、自動車を制御するコンピュータは50〜60種類のセンサーから寄せられたデータを解析し、自動車を制御しているため、プログラムが複雑化している。従って、アップデートの重要性も高まっているという。また、テレメトリック業界では電気や水道などの基本インフラにおける計測器においてFOTAの需要があるとした。

 サリンジャー氏は、「当面は携帯電話向けFOTAソリューションにおけるシェア拡大や既存ユーザーへのサポートの充実を図るが、今後はMtoM市場へも提供していきたい」と今後の方向性を語った。

(@IT 大津心)

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