キングソフトが広告表示することで利用料を無料に

広告モデルを採用した無料のセキュリティソフト登場

2007/07/19

 キングソフトは7月19日、広告を表示することで無料で利用できるセキュリティ対策ソフト「Kingsoft Internet Security free」(以下、KISF)の提供を開始すると発表した。キングソフト 代表取締役社長 広沢一郎氏は、「以前、100万本限定で提供した無料版は5カ月でダウンロードされた。今回は5カ月以内に100万本、早い時期に200万〜300万本と利用者を増やしていくと確信している」と自信を見せた。

広沢氏写真 キングソフト 代表取締役社長 広沢一郎氏

 KISFは、ユーザーインターフェイス(UI)上に広告を表示することで利用料無料で利用できる総合セキュリティ対策ソフトウェアだ。キングソフトでは、従来より更新料無料で2980円の「Kingsoft Internet Security」を提供しているが、今回このKingsoft Internet Securityと同じ機能を無料で提供する。有償版と無償版の違いは広告表示の有無だけだという。主な機能には、ウイルス対策機能、ファイアウォール機能、個人情報保護機能、スパイウェア対策機能、迷惑メール防止機能などを備える。

 無料なのは、UIやウイルスパターン更新時のポップアップ部分に広告が表示されるからだ。キングソフトは、この部分に広告配信パートナーを経由した広告を表示するほか、アライアンスパートナーと提携し、アライアンスパートナーブランドのKISFを提供していく。今回広告配信パートナーとしてリンクシェアとオーバーチュアが、アライアンスパートナーとして楽天やエキサイト、GMOメディア、未来検索ブラジルなどが公表された。

 例えば、ユーザーがキングソフトのWebサイトからKISFをダウンロードする場合、ダウンロード時にユーザーの属性情報(地域、性別、年齢層、職業など)を入力する。この情報に基づいて、広告配信パートナーを介してコンテンツ連動型広告やアフィリエイト広告がUIなどに表示される。また、アフィリエイトパートナー経由で入手した場合には、OEMのようにUIやポップアップ画面にアフィリエイトパートナーのロゴなどが表示される仕組みだ。

画面イメージ写真 Kingsoft Internet Security freeの画面イメージ。上部のキングソフトやKINGSOFT Office 2007のロゴが出ている部分と左下のキングソフトのロゴ部分が広告表示部分だ。ここに各社の広告が表示される仕組み

 広告表示を煩わしいと感じる場合には、2980円の有償版に乗り換えれば広告は表示されなくなる。キングソフト 取締役 沈海寅氏は、「海外で無料のウイルス対策ソフトはすでに存在しているが、スパイウェア対策やファイアウォール機能なども含めた総合セキュリティ対策ソフトとしては世界初だろう。安いだけでなく、性能面でも満足してもらうため、現在1日3回提供しているウイルスパターンファイルを、年内には1日24回にまで増やしていきたい」とコメントした。

 広沢氏は、「まったく新しいビジネスモデルなので、正直広告効果や広告モデルが読めていない部分もある。しかし、調査によると25〜36%のユーザーがウイルス対策ソフトを未導入だという。これらのユーザーに訴求できるはずだ。また、広告を表示し過ぎてアンインストールされてしまっては意味がないので、そのあたりのチューニングは今後、調整していきたい」と語った。

(@IT 大津心)

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