分譲マンション向けに提供

「15秒後に震度6!」と言われてまごつかない緊急地震速報サービス

2007/07/24

 丸紅と東京建物、三菱地所の合弁企業で、分譲マンション向けにインターネットアクセスなどのITインフラを提供する、つなぐネットコミュニケーションズは7月24日、マンション向けの緊急地震速報サービス「SCOOP」(スクープ)を提供開始すると発表した。地震発生前の警告だけでなく、地震発生中や地震発生後も住戸のインターホンを通じて注意や案内を行うのが特徴で、地震時の「減災」を目指すという。

 スクープは、気象庁が10月1日から一般提供を行う緊急地震速報を利用したサービス。緊急地震速報は地震発生時の小さな揺れであるP波と、大きな揺れを発生させるS波の伝播速度の差を利用し、地震の到達時間や震度を予測する。

 気象庁が発する緊急地震速報は光回線の閉域IPv6ネットワークで各マンションに伝えられる。各マンションに設置する地震情報解析機器を経由してインターホンが警告メッセージを発する仕組み。緊急地震速報はIPv6のマルチキャスト配信で行われる。ユニキャストに比べて通信の負荷が低く、安定的で迅速な配信が可能という。つなぐネットはIPv4のインターネット回線も使って地震情報解析機器を監視する。

scoop01.jpg 緊急地震速報は地震情報解析機器から警報監視盤を経由してインターホンに伝えられる

行動指針を案内

 緊急地震速報はテレビやラジオ、インターネット、携帯電話を使ったサービスも予定されているが、インターホンは常に電源が入っているうえに、使い慣れているため緊急地震速報に適しているという。

 インターホンが警告メッセージを発するのは地震到達前と到達直後、到達1分後の3段階。到達前には「地震 震度5弱以上 15秒後」「ドアを開けて窓から離れて安全な場所で身を守ります」「すぐ地震が来ます 落ち着いて」などのメッセージが男性の声で発せられる。また到達直後には「倒れてくるもの、落ちてくるものに注意して、揺れが収まるまで身を守ってください」などと1分間繰り返される。さらに到達後には「足元の安全を確認してから動いてください」などと注意される。

 つなぐネットの取締役 芝田典和氏は「単に警報だけでなく、行動指針も案内する」とスクープを説明した。スクープではマンション個別の立地条件や地盤条件も加味し、精度の高い震度情報を提供するという。

 スクープを監修した危機管理アドバイザーの国崎信江氏は、テレビなどによる緊急地震速報では、住民が内容をすぐに理解できず、迅速な行動を取れないと指摘。インターホンを使った速報のメリットを強調した。

 スクープはマンション1棟当たり月3万1500円、1戸当たり月525円で提供。棟当たりの価格をマンション住民で折半すると100戸のマンションの場合で、1戸当たりの負担は月840円になる。東京建物はすでに今秋以降に首都圏で販売するマンションにスクープを標準採用することを決めている。丸紅や三菱地所の分譲マンションも導入を検討するといい、2008年度に1万2000戸、120棟への導入を目指す。

(@IT 垣内郁栄)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)