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Google Docs&Spreadsheets対抗か

「広告付き無償版MS Works 9登場の噂」の不思議

2007/08/01

 マイクロソフトの廉価版オフィススィートの次期バージョン、「Microsoft Works 9」は広告付きのフリーソフトになる――。米ZDNetのマリー・ジョー・フォーリー(Mary Jo Foley)氏が伝えるところによれば、7月27日のインタビューのなかで米マイクロソフトでサーチ&アドバタイジングプラットフォームグループを担当する新任の副社長、サチャ・ナデラ(Satya Nadella)氏は、広告付き最新版Microsoft Worksを最近リリースしたと、過去形で話したという。

 実際には、Works 9はダウンロード可能ではないばかりでなく、改めてフォーレイ氏が同社に確認を取ったところ、Worksの新バージョンに関して何ら公式コメントは得られなかったいうから不思議な話だ。

 さらに不思議なことに、同社のサポートページには、すでにWorks 9についての記述があり、動作OSとして32/64ビット版のWindows XPと32ビット版Windows Vistaに対応すること、ファイルフォーマットとしてOffice 2007から採用されたXMLベースのオープンフォーマットOOXMLをサポートすることなどが明記されている。BitTorrentなど、いくつかのファイル共有ネットでは、すでにWorks 9が出回っているともいうから、ほとんど完成したソフトウェアとして存在しているのは、おそらく間違いない。

 念のために付け加えておくと、Microsoft Worksは、もともとMacintosh用に開発された製品で、ワープロ、表計算、データベース、カレンダーやPowerPointビューワのほか、現在最新の日本語版であるマイクロソフト ワークス8には、ハガキ印刷ソフトが付いてくる。当初、Microsoft WorksはMicrosoft Officeの機能限定版といったポジショニングで、1990年代半ばごろには個人向けメーカー製PCにプリインストールされていることが多かった。その後、個人向けPCには、パーソナル版Officeがバンドルされるようになり、Worksの存在は忘れられつつあった。

互換オフィス対抗の有力手段か

 マイクロソフトは、本当にWorksをフリーウェア化するだろうか?

 現在、マイクロソフトのオフィス互換ソフトウェアとして、フリーソフトウェアのOpen Officeや安価なKingsoft Officeがある。また、Webブラウザでアクセスするサービス(SaaS)としてZohoやOnSheet、Google Docs&Spreadsheetsなどのオフィス製品もある。

 こうした製品・サービスは低コスト、もしくは無償でありながら、操作感やデータフォーマットの互換性といった使い勝手を急速に高めている。まだマイクロソフトの優位を覆すような脅威とは思えないが、かといってネットワークへの依存度が高まるIT環境において、SaaS型アプリケーションの潜在市場を黙殺し、あぐらをかいていられる立場では、まったくない。

 マイクロソフトにとってオフィス製品はドル箱だから、この新興勢力に対抗するためにMicrosoft Officeの価格を下げるわけにはいかないだろう。また、マイクロソフトがSaaS型オフィススィートの分野に進出してくることもなさそうだ。Microsoft Office Liveが提供するサービスを見れば分かるが、Office Liveは、クライアントPCにインストールしたパッケージソフトウェアとしてのオフィス製品を、オンラインのリポジトリと連動させて活用するサービスであって、オンラインだけでアプリケーションもデータも完結させようというSaaS型とは性格が異なるからだ。

 こう考えて来ると、無償版Worksの提供は合理的な戦略に思えてくる。マイクロソフトにとって新興互換オフィス勢力にユーザーを奪われないための非常に有効な一手となり得るからだ。先に挙げたリンク先のページによれば、Works 9はマイクロソフト製品とのデータ互換性が高く、Office 2007から採用されたOOXMLにも対応する。マイクロソフトにとっては、OOXML文書を幅広い層に使ってもらえることのメリットはきわめて大きく、Works無償化による機会損失のリスクなど吹き飛ぶのではないだろうか。

 OOXMLはECMAによりオープンな標準フォーマットとして確立されているため、原理的にいえば、各社のオフィス互換ソフト・サービスはOOXMLで保存された文書を読み込む機能を実装できるはずだ。しかし現実には、HTMLとWebブラウザの関係と同様に「OOXMLを最も正確に表示・編集できるのはMicrosoft Office」となる公算が高い。昔から標準化されていて、オフィス文書に比べればシンプルなはずのHTMLやCSSを使って、なぜ異なるWebブラウザで表示レイアウトが崩れるのか、その理由を想起すべきだろう。

 8月1日現在、マイクロソフトからは何の発表もないが、近い将来に広告付きのフリーソフトとして「Microsoft Works 9」が登場したとしても不思議ではない。

(@IT 西村賢)

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