YouTube 日本版 事業戦略発表

「著作権保護は人力ではなく、技術で解決したい」、YouTube 日本版

2007/08/02

 グーグルは8月2日、YouTube 日本版の事業戦略を発表した。米本社からコンテント担当副社長 デービッド・ユン(David Eun)氏が来日、壇上にはスカイパーフェクト・コミュニケーションズなどパートナー企業6社の代表者が顔を揃えた。

グーグル写真 米グーグル コンテント担当副社長 デービッド・ユン氏

1分間に6時間分の動画がアップロードされる

 YouTubeは現在日本語を含む10カ国語でサービスを提供している。視聴数(アクセス数)は毎日数億、1分間に6時間分の動画がアップロードされる。(アップロードされる)動画数は毎日数十万の規模である。既存メディアには実現できない新メディアとしての特徴を生かしたビジネスモデルを構築し、YouTube 日本版の収益化を推進していくとユン氏は意気込む。

 ユン氏が考える新しいメディアの特徴は、既存メディア(主にテレビ)では実現が困難な要素を包含している。視聴者が見たい時に見たいコンテンツを提供できるいうネットメディアの大きな特徴はYouTubeの強みでもある。(グーグルの)パートナー企業にとっては、(製品やサービスの)プロモーションやディストリビューションの新たなプラットフォームになりえる。YouTubeを通じて公開されるコンテンツは、多くの場合、既存メディアを通じて流されるコンテンツと比較して、さまざまな意味で自由度が高い。制作費を安く抑えることが可能であり、制作期間も短くできる。配信のための労力やコスト負担も非常に軽い。

 YouTube 日本版を収益が出せるWebサイトにしていくためのビジネスモデルは、現時点では、非常にシンプルである。

 日々ユーザーがアップロードするコンテンツに広告を付与するモデルや、パートナー企業によるディスプレイ広告、動画広告による収入の確保だ。すでに全世界で1000社強のパートナー企業が名を連ねている。日本ではプロモーション・パートナーとして、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、東京メトロポリタンテレビジョン、GDH、吉本興業(および同社子会社のベルロックメディア)がYouTube 日本版を通じて、コンテンツの配信を行う。また、ミクシィはディストリビューション・パートナーとして、YouTube 日本版からmixi日記が投稿できる機能や、mixi日記内でYouTubeの動画を公開できる機能を実装した。カシオ計算機は、デジタルカメラにYouTubeへの動画アップローダーを搭載した。

音声、動画認識技術を使った電子ツールをリリース予定

 YouTube 日本版が日本で事業を展開するにあたり、コンテンツの著作権保護への取り組みはどうしても避けて通れない。グーグルでは、違法コンテンツのアップロードについて、ユーザーに(アップロードを)行わないようWebサイト上で注意を呼びかけている。しかし、誰がどんなコンテンツをアップロードしたかを完璧に把握する体制を構築しているわけではない。つまり、同社の呼びかけに強制力は乏しい。

 著作権保護の取り組みとしては、音声・動画認識技術を活用した電子ツールを「数カ月中にはリリース」(ユン氏)し、権利保有者が著作権侵害にあたるコンテンツを特定、削除を請求できる仕組みを導入する予定である。

 現在同社は、日本音楽著作権協会(JASRAC)をはじめとした23の団体と著作権保護について協議を行っている最中。同社 代表取締役社長 村上憲郎氏によると「(著作権保護に対する)対応の進ちょくは(各団体に)報告している」が、両サイド共に満足できる協議結果には至っていない、とする。

 JASRACは7月24日に「動画投稿(共有)サービスにおける利用許諾条件について」というガイドラインを発表、ヤフーはこのガイドラインを受け入れる形で動画投稿サイト「Yahoo!ビデオキャスト」を運営している。

 JASRACのガイドラインには、

A)運営者側の責任によるアップロード作品の目視などによる事前チェックもしくは事前と同等のチェック

という項目がある。これは専任の担当者を通じてコンテンツの監視を行うことを義務付ける規定だが、グーグルとしては「人力ではなく、技術的に解決することが、(著作権保護問題に対する)最終的な解決に至る」(村上氏)という考えを持っており、両者の見解は一致していない模様である。

(@IT 谷古宇浩司)

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