CEOは「多目的プロセッサ」と説明

サン、新プロセッサ「UltraSPARC T2」発表

2007/08/08

 米サン・マイクロシステムズが、世界最速を自負するマルチコアかつマルチスレッドのマイクロプロセッサを発表し、顧客への売り込みを積極的に行おうとしている。

 サンの最高経営責任者(CEO)兼社長のジョナサン・シュワルツ氏は、新プロセッサ「UltraSPARC T2」のマーケティングには2種類の方向性を考えていると話した。

 第1にサンは、コードネーム「Niagara 2」と呼ばれるUltraSPARC T2プロセッサを汎用チップと位置付け、金融サービス業や石油会社、Webビジネス、通信業界といった従来からの市場を相手に、彼らが使用するシステムに適した製品としてマーケティングを実施していくという。

 シュワルツ氏は8月7日に現地で開催されたイベントで講演を行い、これらの企業の業種を「日用品ビジネス」と表現して、サンが同垂直市場に注力していくことや、ネットワークアプライアンスおよびストレージ製品などのこれまで得意としてきたコンピューティング分野ばかりでなく、サーバ分野にも SPARC技術を投入していくことを明らかにした。

 さらにサンは、Niagara 2プロセッサを、「OpenSPARC」と呼ばれるオープンソースチッププロジェクトの対象に含める方針だと、シュワルツ氏は述べている。同プロジェクトに関わるコアデザインファイルおよびテストスイートは、「GNU General Public License」の下でリリースされる予定だ。OpenSPARCは、サンが「Solaris」オペレーティングシステムに関して実施したオープンソース化プロジェクトと同類のもので、ハードウェアおよびソフトウェア開発者が同チップのアーキテクチャに基づく開発を自由に行えるようにする取り組みである。サンは、同プロセッサを軸とするエコシステムの創造も目指していく。

 サンがSolarisコードをオープンソース化した2005年以降、同OSのダウンロード回数は900万回を超えており、そのうち半数以上がIBMやデル、ヒューレット・パッカード(HP)などのシステムにインストールされたと、シュワルツ氏は説明している。

 またサンは、オリジナルの「UltraSPARC T1」プロセッサの仕様も公開した。

 「以前の試みと同様、今回の取り組みは大きな変化を伴うもので、同時にサンがイノベーションを進めるきっかけとなり、市場におけるビジネスチャンスを拡大するものでもある」(シュワルツ氏)

 サンは、Niagara 2プロセッサに対応したラックマウントやブレードサーバなどの新たなシステムを開発し、今年後半から大量出荷するとともに、同チップの高い性能を顧客にアピールしてくれるパートナーを探している。

 自社のSolaris OSに加え、サンは「Ubuntu Linux」のサポートを提供していく意向だ。イベントの講演後、聴衆から質問を受けたシュワルツ氏は、Solarisを積極的に採用しているHPといったほかの主要ベンダーと、サンが力を合わせていくことを望んでいると話した。

 サンはマイクロエレクトロニクス部門を新たに立ち上げ、2007年初頭から同社の技術のライセンシングを始めているが、SPARC技術の浸透は同部門の成長にもつながる。

 Niagara 2は、オリジナルのNiagaraプロセッサと同じ8個のコアを搭載しているが、サンのエンジニアは同チップの命令スレッド数を2倍の64へ増やしている。そのほか、ネットワーキングやI/O、セキュリティ機能も強化された。仮想化については、同チップはサンの「Logical Domain」技術に対応している。Logical Domainは、システムによる動的なプロビジョンを可能にし、OSのインスタンスを最大64個まで実行できる技術だ。

 サンはまず、それぞれ1.2GHz、1.4GHzで動作する2つのバージョンのNiagara 2プロセッサを発売するという。

原文へのリンク

(eWEEK Scott Ferguson)

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