ボリュームライセンスユーザーに先行提供

Windows Server 2008は年内に提供開始――仮想化技術のすごさとは

2007/08/21

 企業のIT担当者は、マイクロソフトの次期サーバOS「Windows Server 2008」のことをそろそろ考えないといけないようだ。マイクロソフトは8月21日、開催中の開発者向けイベント「Tech・Ed 2007」で、Windows Server 2008と、次期統合開発環境の「Visual Studio 2008」のボリュームライセンスユーザーへの提供を2007年中に開始することを明らかにした。2008年4月15〜16日には「SQL Server 2008」を加えた3製品の発表イベントをパートナー企業とともに開催する。

 Tech・EdではWindows Server 2008に実装する仮想化技術「Windows Server Virtualization」(Viridian)をデモンストレーションした。仮想化環境の管理ツール「Virtualization Management Console」をWindows Server 2008で起動し、「Windows Server 2003」の64ビット版や、Windows Server 2008の「Server Core」、「Windows 2000 Server」、そして「SUSE Linux」を起動できることを示した。ViridianはホストOSを介さずにハードウェア上の仮想化レイヤでOSが稼働するハイパーバイザー型の仮想化技術。高いパフォーマンスが特徴だ。

teched01.jpg Viridianのデモ。Windows Server 2008内でSUSE Linuxを稼働させる

 デモを行ったマイクロソフトのサーバプラットフォームビジネス本部 森屋幸英氏は、ViridianではOSは親子関係ではなく、「薄い仮想化レイヤ上でゲストOSがホストOSと並行して動いている」と説明した。マイクロソフトは、サーバ統合のほか、旧OSで稼働するアプリケーションの資産継承、ハードウェア・リソースの有効活用に仮想化技術が使えると説明している。

シトリックスのXenSource買収を「すばらしい」

 基調講演を行った米マイクロソフトのWindows Server プログラム マネージメント ディレクター イアン・マクドナルド(Iain McDonald)氏は「仮想化、統合化されたIT環境の構築に注力する」と強調。「現在はシステムの5%しか仮想化されていないが、5年後には多くのシステムが何らかの仮想化技術を使っているだろう」と話した。

teched02.jpg バイクで登場した米マイクロソフトのWindows Server プログラム マネージメント ディレクター イアン・マクドナルド氏

 また、米シトリックスによるXenSource買収について「すばらしい買収だ。マイクロソフトはシトリックスと何年もパートナー関係を築いてきた。XenSourceとも緊密な関係を保ってきた」と説明。そのうえで「両社のこの合意をさらに大きくしていきたい」と話した。米国メディアは、マイクロソフトが新生シトリックスを買収する可能性を指摘している(参考記事:マイクロソフトが「新生シトリックス」を買収すれば理にかなう)。

 マイクロソフトが「Windows Server 2008の一番大きなフィーチャー」(同社 サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 五十嵐光喜氏)と位置づける仮想化技術のViridianだが、Windows Server 2008に実装するのは、同OSの開発完了後180日以内で、初出荷には間に合わない。Windows Server 2008のスタートダッシュは難しい状況だ。

 だが、4月に配布を始めたWindows Server 2008のベータ3は国内で8万6018コピーを配布済み(6月末まで)。テクニカルトレーニングは4651人が受講、約150社が対応アプリケーションを開発中、早期導入プログラムに15社が参加するなど「Windows Server 2003よりも早い立ち上がり」(五十嵐氏)と、マイクロソフトはWindows Server 2008の展開に自信を見せている。

 同社 代表執行役 社長 ダレン・ヒューストン氏によるとベータ3の世界での配布は約15万コピー。その半分は日本で配布されたことになる。ヒューストン氏は「日本のエコシステムは新しいITインフラに注目している」と語った。

SQL Server 2008は10月上旬にCTP配布

 マイクロソフトは8月21日、Visual Studio 2008の「Express Edition」ベータ2日本語版を提供開始。SQL Server 2008のオンラインでの技術情報の提供も開始した。SQL Server 2008は10月上旬に早期評価用の日本語版Community Technology Preview(CTP)を公開する予定で、2008年中に完成させる予定だ。

(@IT 垣内郁栄)

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