最少のキー操作で

「1にも2にも使い勝手」、グーグルモバイルマップ担当者

2007/08/29

gmm201.jpg グーグル ビジネスプロダクト マネージャー 石原直樹氏

 「1にも2にも3にもユーザビリティ、つまり使い勝手の良さを追求しました」(グーグル ビジネスプロダクト マネージャー 石原直樹氏)。先週の21日にリリースされたGoogleマップのモバイル対応版「モバイルGoogleマップ」(参考記事:Googleマップ、ドコモ端末でスムーズスクロールに対応)についてグーグルは29日、改めて説明会を開き、他社サービスとの差別化ポイントを説明した。

 モバイルGoogleマップ(以下、GMM)は、Javaで書かれた専用アプリケーションをダウンロードして利用することで、ズームイン、ズームアウト、スムーズスクロールを可能に携帯電話端末向けの無償サービス。NTTドコモの903iシリーズ以降の端末で、DoJa 5.0プロファイルに対応した機種が対象となる。ドコモを選んだ理由として石原氏は「技術的にDoJa 5がベストのプラットフォームと判断した」とし、PC版で提供するものと同等のサービスを提供するのに、もっとも適したプラットフォームと話す。今のところGPSに非対応だが、これはキャリアによるアプリケーション認証に時間がかかっているからで、今後は対応を進める。また現在、他キャリアの端末への対応についてはコメントはないが、ソフトバンクの端末は「ドコモに近いので対応は容易。auのBREWについてはBREW端末が全世界にあるので調整が必要」とした。今回のサービスは外部からは国内向けに見えるが、グーグルでの開発はグローバルで展開するという。「GMMに限らず、コードベースが分化するのをよしとしない。どこかで改良したら、それを本社に必ず戻している」という。

大胆なキーアサインとUIで基本機能を使いやすく

 石原氏は、使い勝手を左右する細かな“こだわり”を、広報担当者が「もう少しゆっくり」と抑えなければならないほど早口に、次々と語った。

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 PCの世界でいえばショートカットキーに相当する、大胆なキーアサインがGMMの1つの特徴のようだ。「ズームイン機能がいちばん使われている。だから、いちばん使いやすいキーである真ん中ボタンをズームにしました」。通常なら左右の対称性から小さな機能ボタンに割り当てられそうな機能だが、グーグルが考える“使い勝手”は大胆だ。地図上にブックマークするのはアスタリスクキー(*)だし、レストランの検索では検索条件に該当するレストランに1〜9の数字が割り振られ、数字キーを押すだけでパニング(滑らかにスクロールして対象を中心に持ってくるUI)する。

 ユーザーがボタンを押す回数を極力減らすというポリシーは、やはり一般的な設計からすると“大胆”なUIとなって、検索キーワードの入力画面にも現れている。過去の検索履歴のリストから目的のキーワードを選択すると、いきなり検索を実行して地図を表示してしまう。一般的な設計なら、まず選択した検索キーワードが検索テキストの編集画面に展開され、それを確定して検索ボタンを押すという一連の操作が必要になるところだ。

 PCのWebの世界で、いち早くAjaxを採り入れたグーグルらしさは、モバイル版でも健在だ。Ajaxの良さはサーバのレスポンスが悪いときにもUIが縛られないことだが、同様に、GMMのズームイン機能ではキー操作の先行入力をキューに入れておき、「ボタン操作→ズーム結果表示→ボタン操作→ズーム結果表示……」という手順を踏むことなく、いきなりズームしたい程度の回数ズームボタンを押せるようにしたという。同様の“非拘束的”なUIは、検索時にも採り入れられている。検索キーワードをサーバに投げている時にも、地図のスムーズスクロールは可能だ。

 PC版と異なる動作をする場合も多い。例えば「渋谷」で検索した場合、PC版では東京・渋谷を漠然と表示するが、モバイル版では渋谷駅を表示する。また「大手町」という駅名は日本に2つあるが、ユーザーの利用履歴を考慮に入れたアルゴリズムで、ユーザーの意図が愛媛県の大手町なのか、東京の大手町なのかを判別しているという。

gmm202.jpg あえて少なくしたというメニュー項目

 PC版と違い表示できる情報量が少ないことから、「文字情報や線分も、かなり取捨選択し、配色にも気を遣った」という。あまり使わない機能をメニューから省き、あえてメニュー項目を少なくしたのも使い勝手への配慮だという。

 まもなくリリース予定の新機能として、経度・緯度情報を利用したHTMLタグを導入するという。Webサイトやメールに埋め込むことができ、それをクリックしたユーザーは、該当する位置の地図を開いた状態でGMMが使えるという。同様に「渋谷 ラーメン」という検索クエリを埋め込んだタグも利用できるようにする。

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(@IT 西村賢)

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