デスクトップ仮想化ではトータルに製品提供

米ヴイエムウェア、サーバ仮想化の“次の手”を発表

2007/09/10

 米ヴイエムウェアは米国時間9月10日、同社のイベント「VMworld」開催に合わせて新製品を発表した。サーバ組み込み型のハイパーバイザ、デスクトップ仮想化のトータルソリューション、そしてディザスタリカバリ(災害復旧)製品の3つだ。

 まず、サーバ組み込み型のハイパーバイザとは、VMware ESX Server 3のコードサイズを32Mバイトに縮小した「VMware ESX Server 3i」。IBM、デル、ヒューレット・パッカードをはじめとするハードウェアベンダに対してOEM供給する。サーバベンダはESX Server 3iをハードディスクドライブではなく、USBあるいはそのほかのメモリデバイスに組み込んだ専用サーバ製品を、年末から来年初めにかけて提供開始する。ESX Server 3iにはVMotionをはじめとするVMware Infrastructure 3のオプション製品を組み合わせることも可能だ。

 ESX Server 3iの利点は、まずサーバハードウェア自体にハードディスクドライブを搭載せずとも、ローカルにハイパーバイザを立ち上げられるようになること。起動にかかる時間を短縮できるというメリットもある。

 これまでのESX Serverでは管理コンソール用にレッドハットのLinux OSをインストールしなければならなかったが、これが不要になった。ヴイエムウェアでは新製品を「今日の市場において汎用OSを組み込まない唯一のハイパーバイザ」と表現している。汎用OSを組み込まないことで、管理者はこうしたOSに対するパッチなどのメンテナンス作業から解放される。

 デスクトップ仮想化では、これまでヴイエムウェアが「Virtual Desktop Infrastructure」(VDI)として提供してきた製品の拡張が発表された。VDIはシンクライアント・ソリューションの1つで、サーバ上に各デスクトップのOSとアプリケーションを仮想マシンとして動作させ、画面/キーボード入力転送によりネットワーク経由でこれを利用できるようにしている。同社は今回、クライアントと仮想マシンとの間の接続管理を行う「VMware Virtual Desktop Manager 2」を発表した。

 第3の、ディザスタリカバリの新製品である「VMware Site Recovery Manager」(SRM)は、遠隔接続された2つのデータセンター間におけるサーバのフェイルオーバの管理ツール。どのサーバをフェイルオーバの対象に含めるかなど、2つのデータセンターを結ぶリカバリ環境を集中的に設定・管理し、バックアップサーバの立ち上げや本番サーバへの復帰のプロセスを制御できる。

 ヴイエムウェアはサーバフェイルオーバ用途ですでに「VMware HA」という製品を持っているが、これはローカルに接続されたサーバ間でのフェイルオーバを実現するもの。VMware HAではサーバの死活をハートビートプロトコルで監視する仕組みを持つ。SRMは遠隔接続環境を前提とするため、ハートビートは使わない。遠隔のバックアップサーバは、ストレージ関連ツールで提供されるレプリケーション(複製)により転送されたデータのみを使って立ち上がる。

 ヴイエムウェアではSRMの発表に伴い、ストレージ関連ベンダとの連携を強化していくという。

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(@IT 三木泉)

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