記者の意識を改革

スクープもネットに流します――「MSN産経」が10月開始

2007/09/25

 マイクロソフトと産経新聞社、産経デジタルは9月25日、ポータルサイト「MSN」内のニュースコーナーとして「MSN産経ニュース」を10月1日に開設すると発表した。マイクロソフトはこれまで毎日新聞社をバートナーとしていたが産経新聞社にくら替えする。スクープ記事を新聞紙ではなくMSN産経ニュースに最初に掲載するなど「記者の意識を改革することで、ネットと紙の間の高く厚い壁を破壊する」(産経新聞社 代表取締役社長 住田良能氏)としている。

 住田氏はスクープ記事をネットに最初に掲載する「Webファースト」に加えて、質の高さも追求するとして「Webパーフェクト」をMSN産経ニュースで実現すると強調した。マイクロソフトと分かれた毎日新聞社が独自サイトを同じ10月1日に立ち上げる予定であったり、朝日新聞社と日本経済新聞社、読売新聞社の合同ニュースサイトの開設がうわさされるなど、新聞メディアの動きは最近激しい。住田氏も「他社も大きな連携が進んでいると聞いている」と話す。そのうえで「紙かネットかという択一の議論ではなく、報道機関の使命をどう果たすかに尽きる。他社とも切磋琢磨してネット時代の言論・報道機関の使命を果たしていく」と語った。

sankei02.jpg MSN産経ニュース

 MSN産経ニュースが目指すのは、ユーザーに有益な情報を最大限オンラインで公開するという「マキシマム・ユース」。産経デジタルの取締役 近藤哲司氏は、これまで新聞紙での公開を優先してきた特集記事や解説記事、スペースの制限で新聞紙には載せられない重大事件の判決文などをMSN産経ニュースに積極掲載するとして「コンテンツの出し惜しみはしない」と話した。産経新聞社は今夏、新聞紙とネットニュースの編集を一本化。4人の編集長が交代で紙面とネットの編集を担当するようにした。「記者にとっても、ネットが主要な“勝負”の場になる」(近藤氏)

sankei01.jpg マイクロソフトのマイクロソフトの代表執行役 社長 ダレン・ヒューストン氏(左)と産経新聞社 代表取締役社長 住田良能氏

 一般紙のネットニュースが1〜3カ月で記事を閲覧できないようにしているのに対して、MSN産経ニュースは記事の掲載を原則6カ月にする。重要記事は掲載期限を設けずにパーマネントURLを設定。テーマごとに記事や関連写真を集めた「トピックス」も新設する。ネット独自の連載記事「インターネットが変えたもの」も始める予定だ。

 技術的にはマイクロソフトの独自技術を大きく投入する。記事内の特定の用語にマウスを合わせると自動で別ウィンドウが開き、その用語でのWeb検索結果が表示される「Live Search サイドビュー」を採用(対応はInternet Explorerのみ)。記事についてほかのユーザーと「Windows Live Mssenger」で会話できるボタンも付ける。また、MSN産経ニュースの最新記事が確認できるWindows Vista ガジェットも提供する。MSN産経ニュースからの売り上げはマイクロソフトと産経新聞社側で折半する。

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(@IT 垣内郁栄)

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