1100台中700台からMS Officeを削除、アシストの場合
OpenOffice移行に必要なのはトップの決断
2007/10/05
小川知高氏(アシスト 新規事業準備室 マーケティング・プランナー)「本当にOpenOfficeに移行ができるのだろうかと、多くの企業が判断できないでいる。移行判断に必要なのは、費用効果を数字で把握することと、具体的な課題を特定して解決策を検討すること。それは情シスの仕事。しかし、いちばん必要なのは経営トップの決断だ」。
10月5日に始まった「オープンソースカンファレンス2007 Tokyo/Fall」の講演で、小川知高氏(アシスト 新規事業準備室 マーケティング・プランナー)は自社のOpenOffice導入経験について、そう総括した。
社員710人、3年で1700万円のコストダウン
アシストの社員数は710人。ソフトウェアパッケージの販売・サポートを手がける同社の職種構成は、営業系が3割、技術系が5割強、残りが業務系。マイクロソフトのオフィス製品がインストールされた1100台のPCのうち700台でオフィスツールをOpenOfficeに置き換えた。2009年6月の次回更新時にライセンス数を1134本から250本にまで削減できたことで、1700万円のコストダウンとなる見通しだ。
コストダウンの効果は3年で1700万円検討段階から含めると、1年2カ月の期間をかけ、段階的に導入を進めた。
サポート業務を行う同社にとって、自社でOpenOfficeを導入するということには、ビジネス化の可能性を探るという目的があった。トップダウンの指示でチームを設立できたことも、移行が比較的スムーズに運んだ理由だという。「OpenOfficeを社内標準のオフィスツールとして使用することや、過去のドキュメントを変換することなどを盛り込んだ社内標準指針を作成した。これは経営判断だということを明確に示す憲法みたいなもの。こうしたものがない限り、マイクロソフトオフィスの利用申請が次々と出されることになる」(小川氏)。
マクロの変換ツールは不十分だが、機能実現に問題なし
約4カ月をかけて現状の利用状況の調査から課題を洗い出し、対策案や技術的検討を行った。課題は大きく分けてドキュメントやマクロの互換性、操作性の違い、既存システムとの連携の3つだったという。
マクロの変換は人手で行った。「ExcelのVBAに相当するOpenOffice.org Basicに変換するツールは存在するが、これでは不十分」(小川氏)。最もヘビーにマクロを使う経理部で、約30業務、60ファイルを対象に、2人月を投入してマクロをすべて書き換えた。得られた結論は、いったん書き換えてしまえば「OpenOffice.org Basicは機能面、実務面ともほぼ問題ない」。経理精算のためのExcelのフォームは、オリジナルの画面構成や挙動とほとんど同じものが作成できたという。Accessを使った業務システムについては、OpenOfficeのデータベースソフト「Base」単体では再現できず、表計算ソフトの「Calc」を組み合わせて作成した。「機能的には移行できたが、操作性や処理時間など問題を残すものもあった」(小川氏)という。「内部統制強化や使いやすさの面から、むしろこの機会にWebアプリケーションへ移行するべきという声もあった」(同)。
マクロに続いて難しいのがドキュメントの互換性だ。社内文書は問題ないが、社外とのやり取りでは、なるべくPDFを用いたり、レイアウト崩れがないかをマイクロソフトが無償で提供するビューワーを用いてチェックするなどしているという。時間がないときなど、場合によってはマイクロソフトのオフィス製品がインストールされた共用PCも使う。「大切なのは完全互換ではないと認識すること」(同)で、個別のケースで対処法を明確に定めることが導入成功のカギだという。
システム連携でも、既存の業務システムでExcel形式で出力するものをCalc形式に変更したり、CSVにするなどした。Accessのレポート機能による見積印刷は、無償のAcessランタイムをインストールすることで対応した。
経理部門が抱えていた多くのExcel VBAマクロは、Calcを使って、ほぼ同一の操作性と概観、機能を実現した
Accessで作られた業務アプリケーションも、BaseとCalcの組み合わせで対応操作性の違いは3カ月もあれば慣れる
第1段階では710人のうち約250人、第2段階で残り約450人と、段階的に導入した。研修は行わず、社内ヘルプデスクやイントラネットポータルを作った。ポータルサイトにはダウンロード用バイナリのほか、FAQを充実させた。デフォルトでは半角の円マークがバックスラッシュで表示されるなど、初期設定に関わる利用者の戸惑いの多くを、これで解消した。
いつも使っていた機能の操作方法が分からない――。トップダウンの指示によるMicrosoft Officeのアンインストール期限が近づくにつれ、ヘルプデスクへの問い合わせは大幅に増えた。しかし、「移行当初は操作性の違いに関する質問が多く、操作性の違いで生産性が下がるといった反対意見もあった。しかし、3カ月もするとOpenOfficeに関する質問が多くなった」(小川氏)といい、操作性の違いは慣れれば問題にならないと指摘した。
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