データをオンメモリで動作させることで高速動作を実現

もうクエリを待たなくていい? ティブコが高速BIツール

2007/10/05

 ティブコソフトウェアは10月4日、企業情報解析ツールである「TIBCO Spotfire DXP 2.0 日本語版」(以下、Spotfire DXP)を発売すると発表した。Spotfire DXPは、ティブコが買収した新興のBIベンダ米スポットファイアの製品だ。今回は、Spotfire部門の責任者でもある米ティブコ Spotfire部門 製品戦略担当副社長 ロジャー・オバーグ(Roger Oberg)氏に話を聞いた。

オバーグ氏写真 米ティブコ Spotfire部門製品戦略担当副社長 ロジャー・オバーグ氏

 米スポットファイアは1996年に米ボストンで創業したBI専業ベンダで、2007年5月には米ティブコに買収された。1997年に発売した分析アプリケーション「Spotfire DecisionSite」を中心に展開し、1000社、2万5000ユーザー以上の顧客を抱える。オバーグ氏によると、「スポットファイアの最大の特徴は、ビジネスプロセスから生まれたという点だ。既存のBI製品がIT寄りの技術から入っている点と大きく異なる」と説明した。

 実際、同社のBIソリューションは、DBやDWHのデータを一度サーバに取り込んだ後、クライアントPCのクライアントソフトにダウンロードし、その後はクライアントPCのメモリ上で動作する。従って、動作が非常に速い点が特長だ。

 クライアントソフトには、アナリストなど高度な解析を利用する人向けの「Spotfire DXP Professional」、通常版となる「Spotfire DXP Enterprise Player」、データ閲覧や解析をすべてサーバ側で行うWebブラウザ型の「Spotfire DXP Web Player」の3種類が用意されている。

 ユーザーは利用時にクライアントソフトを立ち上げるとサーバ側からデータをダウンロードし、メモリ上に展開する。展開後はクライアントソフトの右側に「フィルタパネル」というウィンドウが現れ、データをさまざまな角度から視覚的に操作できる。例えば、売り上げデータの場合、フィルタパネルにあるつまみを左右に動かすだけで、「1日分のデータ比較」や「1カ月分のデータ比較」、「地域ごとの売上推移」などをグラフィカルに表示することが可能だ。

デモが面写真 7000行分のExcelデータを利用したデモの様子。Excelデータがメモリ上にあるので、このようなダッシュボード上の数値操作をスイスイ行うことができる

 7000行分のExcelデータを利用したデモでは、ほとんどストレスなく動いていた。日本ティブコソフトウェア スポットファイア部門 アカウントダイレクター 亀田孝志氏によると、「数千〜数万行程度のデータであれば、普通のノートPCでもストレスなく分析してグラフを表示することができる。当社で、10ギガバイトのメモリを搭載した64bit版サーバで実験したところ、100万行のデータであってもサクサク動作した」とした。

 今回発表されたバージョン2.0では、DXP Professionalなどのクライアントソフトに対応したことに加え、DBなどからSpotfireサーバにデータが入ってきたら自動的にレポートを作って配信する機能を搭載。Microsoft Visual Studioにも対応した。価格は、「Spotfire DXP professional」の10人分ライセンスや、「Spotfire DXP Web Player」100人分ライセンス、「Spotfire Analytic Server」1台の3年分のライセンスをすべて含めて4000万円から。

 オバーグ氏は、「Spotfire DXPの最大の特長は、スピードと対話型のUIだ。既存のBIツールでは、『1つのクエリを投げて戻ってくるまで数分待って、操作してクエリを投げて……』の繰り返しで膨大な時間がかかっていた。しかし、Spotfire DXPでは、1度データをクライアントにダウンロードすれば、後はオンメモリで動作するので非常に速い。これは一度体験すれば分かってもらえるだろう」とコメントした。

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(@IT 大津心)

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