8コア×4スレッドとSoCで高いスループットを実現

サン、64スレッド処理可能なCPU搭載サーバを発売

2007/10/10

sun01.jpg 記者会見で新製品について発表するサン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 末次朝彦氏

 米サン・マイクロシステムズと富士通は10月10日、両社が共同で展開しているSPARC Enterpriseサーバのラインナップに新たに「SPARC Enterprise T5120/T5220」の2モデルを追加し、販売を開始したと発表した。プロセッサに「UltraSPARC T1」の後継となる「UltraSPARC T2」を搭載する。UltraSPARC T2の動作クロックは1.2GHzまたは1.4GHzで、最大で8つのコアを搭載する。1コア当たり処理可能なスレッド数は、T1の4スレッドから8スレッドと2倍となり、1チップで最大64スレッドを実行可能になった。日本での価格はSPARC Enterprise T5120が97万10000円(税別)から、同T5220が108万6000円(税別)から。

 今年度末にはブレードサーバ向けやテレコム向け製品でもUltraSPARC T2搭載サーバを提供予定であるほか、ネットワーク機器ベンダを中心にプロセッサの単体発売も予定しているという。

sun01b.jpg SPARC Enterprise T5120(上)と、同T5220(下)

SPECint_rateでもSPECfp_rateでも最速をマーク

sun02.jpg 新たに浮動小数点演算ユニットや、暗号化処理ユニットが追加された(クリックで拡大)

 Webサーバやアプリケーションサーバなどオンライントランザクション処理で、高いスループットを実現する。一定時間にどれだけのタスクを処理できるかを計測する指標であるベンチマークテスト、SPECint_rate2006では、シングルソケットのプロセッサとして現行製品最速をマーク。1.4GHzのT5220は整数演算のパフォーマンスを示すSPECint_rateで、POWER6ベース、4.7GHz駆動のIBM System p570より29%、Xeonベースで3GHz駆動のHP Proliant DL360 G5より28%高い性能という。UltraSPARC T1では苦手だった浮動小数点演算でも、チップ上に1つだった浮動小数点演算ユニットが各コアごとに計8個に増えたことで処理能力は8倍に向上。技術計算にも適用できるようになった。浮動小数点演算のパフォーマンスを示すSPECfp_rate2006では、IBM System p570より7%、HP Proliant DL360 G5より61%高速だという。

10GbEや暗号処理機構もチップ上に統合

sun03.jpg 8つのコアを1チップに収めたUltraSPARC T2のダイ写真(クリックで拡大)

 UltraSPARC T2ではSoC(System on Chip)化を進めた。「従来はシステムレベルで実現していたような機能を、直接シリコンの上に実装した」(マーケティング統括本部 専任部長 堀口健氏)。

 10GbEを2ポート、チップ上に搭載した。従来は「CPU性能が上がっても、I/O周りがボトルネックになるケースがあった」(同氏)からで、X8 PCI-Expressの搭載と合わせて高い拡張性を実現した。「10GbEは、すぐに市場で使われるものではないかもしれないが、今後必要になる機能で、今回の実装したのはその準備」(同氏)といい、今後、メディアサーバや巨大Webサービス、NAS、HPCなど10GbEが求められるシーンに備えた。オンチップ化された10GbEは独自開発で、マルチスレッド環境に最適化している。DMAを多重化したほか、「パケット・クラシフィケーション」と呼ぶ機能を実装。例えば、「レイヤ2とレイヤ4を、それぞれ違うスレッドに分けて処理を専業化することができる。ネットワークのパフォーマンスを理論値に限りなく近づける」(同氏)ことができるという。

 暗号処理機構もオンチップ化した。DES、3DES、AES、RC4、SHA1、SHA256、MD5、RSA、ECC、CRC32の10種の標準的な暗号アルゴリズムに対応する。x86系プロセッサの20倍、暗号処理専用アクセラレータカードと比べても17倍高速だという。暗号処理機構オンチップ化の背景として堀口氏は、「クレジットカード情報など大切な情報のやりとりは、暗号があるからできる。Webのビジネス環境では暗号化は標準の機能。標準であるならば、搭載するべきという立場だ」と説明した。

 こうした拡張のため、UltraSPARC T2は前モデルのT1に比べて消費電力が増えている。T1で73ワットだった消費電力は95ワットとなった。ライバルのOpteron、Xeon、POWER6が140〜150ワットのレンジであることを考えればこれでも低いが、消費電力増について同社は「消費電力アップはSoCや浮動小数点演算ユニットの増加によるものだが、全体の効率という意味ではT1を、はるかに上回ると評価していただけると思う。単位消費電力当たりの性能は世界ナンバー1」(同氏)とし、UltraSPARC T2が「環境への配慮責任をチップのレベルから果たしていきたい」(末次社長)という同社の掲げるデータセンターでのエネルギー問題に対する最善のソリューションであることを強調した。

(@IT 西村賢)

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