最大2GBのフレームバッファを搭載

ATI、FireGL新シリーズを国内販売へ

2007/11/08

 AMDは11月8日、ワークステーション向けGPUカード「ATI FireGL ワークステーション・グラフィックス・アクセラレータ」の最新シリーズの特徴と、同社の戦略について説明した。8月に米国で発表されたもので、国内向けには11月下旬から順次出荷する。新製品は「ATI FireGL V8650」「ATI FireGL V8600」「ATI FireGL V7600」「ATI FireGL V5600」「ATI FireGL V3600」の5種類。搭載メモリは256MB〜2GB、メモリバンド幅16GB〜110.6GB/秒とエントリーレベルからウルトラハイエンドまでカバーする。

ati01.jpg 新たに国内販売が開始される新ATI FireGLシリーズ
ati02.jpg 米AMD ワークステーショングラフィックス シニア・ディレクタ ジャネット・マツダ氏

 アプリケーションの違いを自動で検知して最適化する機能を備えており、3Dアプリケーションを使った場合のFireGLシリーズはコンシューマー向けのRadeonシリーズの「ほぼ2倍のパフォーマンス」(米AMD ワークステーショングラフィックス シニア・ディレクタ ジャネット・マツダ氏)。CADやCAM、デジタルコンテンツ制作、医療や研究分野での利用を想定している。

 ローエンド製品も含めてDual-Link DVIを2系統搭載するなど、高解像度、マルチディスプレイ環境での作業で競合製品と差が付くという。2GBのフレームバッファや320本のユニファイド・シェーダの搭載などハードウェアの高スペック化とともに、同社が「CTM」(Close to Metal)と呼ぶハードウェアに近いレイヤでの処理を行うSDKの提供により、地震解析、金融分析、遺伝子研究など高い計算能力が求められる分野に適するという。従来8ビットだったカラーデータの内部処理を10ビット化したことで階調表現でも旧製品に比べて進化している。

ati03.jpg 胸部レントゲン写真や頭蓋骨のCGモデルなど、医療分野のモノクロイメージ処理で微妙なグラデーション表現が可能。
ati04.jpg ワークスゼブラが開発したトヨタの高級車レクサスシリーズの3Dカタログ。リアルタイムのレンダリングで風景の写り込みまでリアルに表現できる。現在、東南アジアのショールームに設置されているという

 AMDは2006年12月にATIテクノロジーズを吸収合併している。2007年は「新生AMDで両社の技術をどう融合して製品化していくのかを定義していく1年だった」(日本AMD 取締役 マーケティング本部長 吉沢俊介氏)という。グラフィックス・ワークステーションの市場は規模自体はさほど大きくないが、「CPUとGPUのイノベーションは両輪で動いていかなければいけない。GPUはテクノロジーの牽引役としてAMDにとっては重要」(吉沢氏)だと話した。

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(@IT 西村賢)

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