Microsoft Developer Forum開催

米国が世界のソフトウェア市場で強い3つの理由

2007/11/09

 マイクロソフトは11月9日、「Microsoft Developer Forum Microsoft's 2020 vision of technology」を都内で開催した。MVP(Most Valuable Professional)を含むITエンジニアが参加し、来日中の米マイクロソフト 最高経営責任者 スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏にいくつかの質問を投げかけた。

マイクロソフト写真 米マイクロソフト 最高経営責任者 スティーブ・バルマー氏と日本のITエンジニアたち

 バルマー氏とITエンジニアのディスカッション・テーマは3つの分野に絞られた。「今後の技術革新の方向性」「開発者としてのキャリアの育て方・磨き方」「国内IT産業の発展と、開発者の関わり方」。

 ディスカッションに入る前の冒頭のショート・プレゼンテーションで、バルマー氏は、現在マイクロソフトが世界的にアピールしている「ソフトウェア+サービス」のコンセプトを開発という側面に焦点をあてながらITエンジニアたちに紹介した。このコンセプトは、マイクロソフトが考える「次世代システム」の姿を一言で表現したものといえる。

 デスクトップ・アプリケーションと企業向けシステム構築が主流だった西暦2000年以前の時代からおよそ10年が経過し、いまでは、これらの既存システム群に、Webシステムと非PC環境(モバイルなど)を融合した非常に複雑なシステム構築が求められる。ITエンジニアに必要なスキルも複雑化、高度化、多様化した。バルマー氏は、時代とともにITエンジニアに求められるスキルは変化するものだと話したが、プレゼンテーションを聞く参加者の中には不安な表情を隠せない人もいた。

 「技術革新の方向性」というテーマについて、参加者から出た質問は、技術革新そのものに対する問いではなく、技術革新の高度化と開発者の関係を問うものだった。技術の高度化、複雑化が進むにつれてブラックボックス化が進行している。コンポーネントの組み合わせによってシステム開発を行う状況に対し、このままではひとりひとりのITエンジニアの技術力が低下していくのではないか、との危惧が開発者側から提示された。これに対し、バルマー氏は、従来よりも高次のレベルでITエンジニアの能力は活用されるようになるだろうと回答した。

 一方、上記の問題提起とも関連するが、「開発者としてのキャリアの育て方・磨き方」という観点で、ITエンジニアに求められる資質とは何かが問われた。質問者の意図は、ゼネラリストが求められるのか、スペシャリストが求められるのか、というものだったようだ。バルマー氏は、情報技術の高度化、複雑化という状況を前提に、ITエンジニアに求められるスキルは実にさまざまだと発言、ものすごく細かい分野にその溢れる才能を傾注し、その道の圧倒的なスペシャリストを目指すことは、技術分野が多様化した時代には、ITエンジニアにとって有効なのではないかとした。実際、マイクロソフトには10年間、Windowsの小さなモジュール開発に没頭しているたいへん優秀なITエンジニアがいるという例え話をした。

 「国内IT産業の発展と、開発者の関わり方」について、日本のソフトウェアを世界にはばたかせるためのアドバイスを求めた参加者がいた。世界のソフトウェア市場をみると、確かに、米国企業の製品が市場を席巻している。ただし、ゲームや(アニメーションの)コンテンツなど、日本製品が活躍しているソフトウェアの分野はいくつもある。一概に、日本のソフトウェアが米国製ソフトウェアに劣っていると言えるわけではないという含みを持たせながら、バルマー氏は、ソフトウェア市場において米国企業が優位に立っている要素を3点指摘した。

 1つ目は教育面。米国の高等教育現場では、コンピュータ・サイエンスの教育環境が充実している。2つ目は米国自体が世界最大のソフトウェア消費市場であること。3つ目は英語圏であること。3つ目の要素は、今後、中国やインドのソフトウェアが世界市場でイニシアティブを握ることを示唆している。

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(@IT 谷古宇浩司)

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