「Simplify IT」戦略の一環

デル、ストレージ製品拡充でiSCSIを強力に推進

2007/12/13

 デルは12月13日、「PowerEdge Storage Server」あるいは「PowerEdge NAS」と呼ばれていた製品シリーズを「PowerVault NF」に改称。3製品の提供開始を発表した。

 デル エンタープライズ マーケティング本部 ストレージ ブランドマネジャー、矢部聖一氏は、「(サーバシリーズ名と同一名称を使った)『PowerEdge』ではサーバなのかストレージなのかが分かりにくく、中途半端だった」ことが改称の理由だと話す。

dell01.jpg 左よりPowerVault NF600、NF500、NF100

 PowerEdge Storage Serverシリーズはデルのストレージ関連製品ではローエンドを担ってきた。デルのサーバハードウェアにマイクロソフトの「Windows Storage Server」を搭載したもので、見た目もサーバ製品と同一。NASというより、簡単に使えるファイルサーバという見せ方をしていた。

 PowerVault NFシリーズは、最下位モデルの「NF100」を除く「NF500」「NF600」で、iSCSIターゲット・ソフトウェアを無償提供する。iSCSIターゲットとは、IPネットワーク上でSCSIと同様なサーバとストレージの接続を可能とする技術であるiSCSIを利用する際に、ストレージ側に必要なソフトウェア。「NF500」「NF600」はネットワークインターフェイスも10Gbpsイーサネットを搭載。ストレージデータ転送経路におけるパフォーマンス低下を防いでいる。

 つまり、いままでのPowerEdge Storage Serverではそれ自体をファイルサーバとして使うしかなかったが、PowerVault NFになって、純粋にほかのサーバのストレージとして利用することも簡単にできるようになった。

 デルは同社の掲げるスローガン「Simplify IT(ITのシンプル化)」に関連し、面倒な設定・運用が必要なファイバーチャネルSANに代わるストレージ接続技術としてiSCSIを推進している。「iSCSIはまだ利用している人が少ないが、新製品の投入によりNASの延長線上で気軽に試せるようになる」(矢部氏)

 本格的にiSCSIを利用したいユーザーには、同社がすでに提供しているiSCSI対応ストレージ製品「PowerVault NX1950 Storage Server」「PowerVault MD3000i」の2製品を提供していく。

 デルは併せて、まったく新しいシリーズ「PowerVault DP」を発表した。これは、サーバのデータをディスクドライブにバックアップするための装置。マイクロソフトのSystem Center Data Protection Manager 2007を業界で初めてプリインストールしたという。こちらも面倒な設定をせず、すぐにバックアップが開始できる簡便さが特徴。Active Directoryとの連携で、管理負担を軽減する。

 デルは、今回拡充したPowerVaultシリーズと「Dell|EMC AX/CX」シリーズで、ストレージビジネスの大幅な拡大を狙う。

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(@IT 三木泉)

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