プラグインでWebサービスも統合

DivXが家庭向けコンテンツプラットフォームを発表

2007/12/13

 動画圧縮コーデックの開発・ライセンス提供を行うDivXは12月13日、新製品「DivX connected」を発表した。2007年10月にヨーロッパで発表済みのものだが、日本での正式発表は初めて。

divx01.jpg DivX日本代表 大沢幸弘氏

 DivXは圧縮率の高いMPEG-4の動画コーデックとして動画プレーヤーとともにマニア層を中心に支持されてきたが、ここ数年は「DivXをよくご存じのお客様には家電の間の共通メディア言語を提供する会社と理解してもらっている」(DivX日本代表 大沢幸弘氏)と、位置付けを変えつつある。MPEG-4の規格名のもと相互互換性のない複数のフォーマットが乱立する状況にあって、デ・ファクト・スタンダードとしてコーデックを提供すると同時にソフトウェア、ハードウェア向けの認証を行うことで、動画再生の互換性を保証。松下、ソニー、東芝、パイオニア、ビクター、フィリップス、サムスンなど「日本でも大手、中堅メーカーでご採用いただいていないところはないほど」(大沢氏)に家電を中心に採用が進み、2007年10月現在で1億台、2500モデルを越えるDivX認証ハードウェアが存在しているという。再生向け機器として各種DVDプレーヤー、DVDレコーダー、カーナビ、デジカメ、ケータイ、テレビなどが対応。カーナビでは日本の大手9社がDivX社と契約しており「世界の61%のシェアに相当する」(大沢氏)という。

 採用機器の種類も広がっている。サムスンは2007年1月のCES2007でDivX認証携帯電話を発表。9月にLG電子も同様の発表を行ったほか、携帯電話向けチップセットメーカーの米クアルコムもDivXの搭載を発表し、ケータイへの採用が進んでいる。また、2007年11月にはソニーがプレーステーション3にDivXを採用する計画を明らかにしている。

 大沢氏は「来年はSTBやビデオカメラにも広がると見ている」といい、DivXロゴのついた機器で撮影した動画や再生できた動画は、同じくDivX認証を受けた家電やカーナビで再生が可能。互換性を保証する認証プログラムを提供することでライセンス販売を伸ばし、現在、同社の収入における68%はライセンス提供で、21%が広告、10%がソフトウェア販売によるものという。

divx02.jpg DVDレコーダーやDVDプレーヤーでの採用をはじめ、大手カーナビ9社が採用(左上)。デジカメでの採用も進む(右上)

Google Mapsもリモコン操作で使える

 新製品のDivX Connectedはコーデックにとどまらず、PC向けのメディアサーバソフトウェアや、デバイスに組み込むプレーヤーソフトウェアなどのソフトウェアパッケージだ。PC上に蓄積されたコンテンツや、インターネット上のコンテンツを、リモコン操作1つでハイビジョン対応のテレビで楽しむことができる。

 すでに同様の製品としてマイクロソフトの「Windows Media Center eXtender」やアップルの「AppleTV」がある。これら先行する製品と比べるとDivX Connectedは「オープンプラットフォームであることが最大の違い。プラグインを使って自由にサービスを追加できる」(米DivX CEO ケビン・ヘル氏)という。具体的には、CSS、HTML、JavaScriptでプラグインを作成して、外部のWebサービスをDivX Connectedのプラットフォーム上で提供することが可能だ。プラグインは、特定の動画を集めたチャンネルのようなものでも、既存の外部Webサービスを呼び出すようなものでもよく、すでにナショナル・ジオグラフィックやジャパネットたかたが動画チャンネルを提供するほか、Google MapsやFlickrのプラグインが提供されている。今後はゲームの提供なども計画しているという。SDKはコミュニティ向けにも提供されており、誰でも自由にプラグインが作成できる。

 DivX Connectedと同様の規格として日本の家電メーカーが中心となって策定した相互接続規格「DLNA」がある。DLNAとDivX Connectedとの違いは「DLNAが家庭内のデバイスを接続するものであるのに対して、DivX Connectedは家の外も接続するもの。競合するものではなく共存していくだろう」(説明担当者)という。

divx03.jpg DivX Connectedを組み込んだデバイス
divx04.jpg DivX Connectedのユーザーインターフェイス。Windows Media Center Editionにも似ている
divx05.jpg リモコン操作でローカルPC上やインターネット上のコンテンツを選択・再生できる
divx06.jpg Flickrなど外部のWebサービスなどもJavaScriptを使って対応プラグインを作成できる

関連リンク

(@IT 西村賢)

情報をお寄せください:

アイティメディアの提供サービス

キャリアアップ


- PR -
ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

2023年のSNS炎上総数は189件、炎上元の媒体1位は「X」――コムニコ「炎上レポート」
コムニコが「炎上レポート」2023年版を公開しました。

今度の「TikTok禁止」はこれまでとどう違う?
米国ではまたしてもTikTok禁止措置が議論されている。これまでは結局実現に至らなかった...

「ゼロクリック検索」とは? SGE時代の検索の変化と5つの対策を解説
SEO専門家やマーケター、そして情報を求める人々にとって、「ゼロクリック検索」はどのよ...