再編期を迎えるSIer

「独立系のプライド」で統合、TISとインテックが来年4月に

2007/12/13

 独立系システムインテグレータ(SIer)のTISとインテックホールディングスは12月13日、株式移転によって共同の持株会社「ITホールディングス」を2008年4月に設立し、両社の経営を統合すると発表した。持ち株会社の下に100%子会社となるTISとインテックホールディングスをぶら下げる形で、社員数は1万5000人規模になる。

 会見したTISの代表取締役社長 岡本晋氏は経営統合によって大規模案件が受注できたり、R&D投資の増加、M&Aが期待できるとして「収益機会が拡大する」と説明。両社の現状の顧客、得意分野などもほとんど重ならないため、大きな相乗効果も見込めるとした。特に両社が担当するクレジットカード業界、保険業界では今後、大規模案件が予測されるとして、統合によって「100億円程度の増収効果が期待できる」と話した。アウトソーシング事業についても両社のデータセンターを活用し、相乗効果を見込む。

 両社の売り上げを単純合算した額は2007年度見込みで3250億円。営業利益は180億円。営業利益率は5.5%。これを統合の相乗効果で2010年度には売上高4000億円、営業利益400億円、営業利益率で10%にすることを目指す。岡本氏は早期に売上高5000億円、営業利益500億円を達成するとして「名実ともに(NTTデータや富士通、日立製作所、NECに次ぐ)2位グループとして君臨したい」と話した。

it01.jpg TISの代表取締役社長 岡本晋氏(右)とインテックホールディングスの代表取締役会長兼社長 中尾哲雄氏

 両社が統合を決めた背景にはユーザー企業の開発案件の大規模化や複雑化、海外オフショアの活用拡大、人材の枯渇などがあり、「SI業界にも再編の波が来ている」(インテックホールディングス 代表取締役会長兼社長 中尾哲雄氏)ことがある。有力な結婚相手がいなくなる前に、統合が容易と見られる独立系同士が契りを結んだ形だ。岡本氏は独立系同士で統合した理由を「他社は親会社がいる。独立独歩でやってきたわれわれのポジションをわざわざ子会社におとしめる必要はない。社員は独立系のTIS、インテックホールディングスに入ったというプライドがある」と話した。

 また、中尾氏は国内のSI業界について「取引の多層構造の問題がある」と指摘し、TISとインテックホールディングスの統合が「業界の構造を改革する可能性がある」と話した。

 統合比率はTISの1に対してインテックホールディングスが0.79.本店所在地はインテックホールディングスが本社を置く富山県富山市。ITホールディングスの会長には中尾氏、社長には岡本氏が就く予定。

(@IT 垣内郁栄)

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