Linux/UNIX開発者の取り込み狙う?

マイクロソフト、「Emacs.NET」を検討か

2008/01/07

 米マイクロソフトは、テキストエディタであるEmacsの機能を.NETに導入するプロジェクトに取り組んでいる。

 マイクロソフトのソフトウェアアーキテクト、ドン・ボックス氏は2007年12月29日に投稿したブログ記事の中で、同氏の同僚であるダグラス・パーディー氏が新しい拡張型テキストエディタを開発する技術者を雇い入れていることを明らかにした。ボックス氏の記事中にリンクされている12月26日付のパーディー氏のブログ記事には「『Emacs.Net』とでも言うべきツールの開発を行う開発者/テスターを探している」と記されている。

 Emacsは何年も前から出回っているテキストエディタで、フリーソフトウェアの唱道者であるリチャード・ストールマン氏が1976年に開発した。Emacsには数多くのバージョンやバリエーションがあり、Windows版も存在する。Javaの創始者であるジェームズ・ゴスリングは1981年、UNIX上で動作する初のEmacs風エディタ「Gosling Emacs」を開発した。1984年にストールマン氏は、Gosling Emacsのフリーソフトウェア版として「GNU Emacs」の開発に着手した。ゴスリング氏はそのときすでに、Gosling Emacsを商用配布するためにUniPressという会社に売却していた。

 そして今度はマイクロソフトがEmacsに興味を示したのだ。マイクロソフトがEmacsのコードを流用するのか、それとも同社独自のEmacs風エディタを開発するのかは不明だ。

 「これは、Linux/UNIX開発者を取り込むための戦略の一環ではないかと思う」と話すのは、オレゴン州ユージーンにあるSax Softwareの開発者兼社長のマイク・サックス氏だ。「興味深いのは、『ありとあらゆるものを詰め込んだ』Visual Studioに組み込むのではなく、UNIXツールセットに似通ったはるかに軽量なツールセットを彼らが採用するかもしれないという点だ」。

 そもそも、.NET開発者がなぜEmacsを必要とするのだろうか。マイクロソフトの元ソフトウェア技術者(匿名希望)は、「UNIX/Linuxの世界に身を置いてきた開発者は、Emacsを利用できなければ.NETに移行しないからだ。EmacsにはWindows版もあるのだから、これは奇妙なことだ。わたしの場合、UNIXオタクだったことはないが、.NET版が登場してもすぐに.NETに移行することはないだろう」と話している。

 本記事作成時点では、マイクロソフトからEmacs.Netに関する詳細な情報は得られなかった。

 .NETとEmacsに関連したもう1つのニュースとして、Eclipse Foundationの執行ディレクターを務めるマイク・ミリンコビッチ氏によると、「EMFT」(Eclipse Modeling Framework Technology)プロジェクトは.NETのサポートを目指すという。

 「個人的には、EclipseプロジェクトがEclipse以外のプラットフォームのサポートを追加するのはすばらしいことだと思う」とミリンコビッチ氏は語る。

 Eclipse FoundationのWebサイトでのプロジェクト発表によると、EMFTプロジェクトのリーダーたちは、「EMFTプロジェクトはここに、EMF4Netという新たなコンポーネントの開発を発表する。EMF4Netの目標は、.NETプラットフォーム用のコード生成機能によってEclipse Modeling Framework(EMF)を強化することである。EMF4Netは、EMFがJavaコードを生成するのと同じように、EcoreモデルからC#コードを生成する」と述べている。

原文へのリンク

(eWEEK Darryl K. Taft)

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