Windowsをネットワークブートする「Phantosys」発売へマウントしたサーバイメージをローカルディスクに仮想化

» 2008年01月11日 00時00分 公開
[西村賢,@IT]

 ワッセイ・ソフトウェア・テクノロジーは1月11日、Windows系OSをネットワークブート可能にするシステムソフトウェア「Phantosys 日本語版」(ファンタシー)を2008年2月下旬から販売すると発表した。利用にはクライアントとサーバの双方でライセンスが必要。価格はオープン。開発元は台湾のベンチャー企業、ARGTEK COMMUICATIONで、ワッセイは独占販売権を締結している。

 Phantosysを使うことで、シンクライアント環境を実現できる。クライアントに利用するのは専用機ではなく通常のPC。ネットワークブートを実現するためのBIOSレベルの仕組み「PXE 2.0」(Preboot Execution Environment)をサポートすることが条件だ。PXEが有効になったPCでは、起動するとDHCPに似た仕組みでサーバのIPアドレスを取得し、ファイル転送プロトコルのTFTPを使って起動イメージをサーバから読み出す。Phantosysでは、この仕組みでブート用イメージを読み込む。このPhantosysのブートローダは、CIFSプロトコルを用いてサーバをマウントしてWindowsのイメージを読み込む。ここでPhantosysのブートローダは、Windowsのイメージがあたかもローカルのハードディスク上に存在するように見せかけることで、ネットワークブートに対応していないWindows XP/Vistaを起動可能とした。クライアントのハードディスクは、通常通り利用できるほか、キャッシュとしても使われるため、CADのようなデータ量の多いアプリケーションでも利用に支障はないという。各クライアント上にインストール済みの既存OSと、Phantosysの共存も可能(利用には相当数のボリュームラインセンスが必要)。

 サーバ上に保存するダウンロード用OSイメージは、あらかじめPC上で作成する。このOSイメージを「ルートノード」として、環境が異なるOSイメージをツリー上に派生ノードとして作成できる。サーバ上では単一のイメージファイルに対する差分ファイルを保持するため、派生ノードを追加しても、ディスク容量が無駄に消費されない。作成したノードをクライアントPCに登録すれば、どのノードの状態からでもPCを起動できるため、柔軟な運用が可能という。例えばオフィスソフトだけが入ったノード、Webページ作成ツールを追加したノードなど、部署ごとに異なる環境で起動できる。

 製品は制限付きのライト版のほか、サーバ側の冗長化、負荷分散に対応した上位版がある。最上位版ではUSBポートの利用をローレベルで禁止する機能も備える。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ