バーチカル検索で差別化して他社と共存

モバイル検索連動広告で新風、mcnが国内で本格始動

2008/01/22

mcn00.jpg エム・シー・エヌ 代表取締役社長 マーク・ブックマン(Marc Bookman)氏

 携帯向け検索ソリューションを提供するエム・シー・エヌは1月22日、「allwords」の提供を本格的に開始したと発表した。allwordsは携帯電話ユーザーが入力するキーワードに応じてコンテンツを表示する検索連動型広告サービス。同社代表取締役社長のマーク・ブックマン氏はallwordsの狙いを「通常、6〜10回程度クリックしないとコンテンツにたどり着けない。その距離を短くできればユーザーはコンテンツをより早く見つけられるし、サイトはターゲットユーザーに誘導できる。allwordsはユーザーのクリック数を2〜3クリックにする技術」と語る。

 モバイル向けの検索連動型では、すでにオーバーチュアやグーグルがサービスを提供しているが、これら先行サービスとシステムは大きく異なる。従来のモデルでは、特定の検索キーワードに対してコンテンツプロバイダは価格入札を行う。各キーワードに対してあらかじめ用意したテキストやURLを表示させることで顧客を自社製品や自社サイトへと誘導する。これに対してallwordsでは、広告を表示するメディアやポータルサイトとB2Bによる配信契約を結ぶ。allwordsは、同社が“バーティカル検索”と分類するallwordsは、広告の配信先となるサイトとコンテンツプロバイダを結ぶ「クエリー・ブローカー」として機能する。allwordsはケータイから受け取った検索キーワードを処理、分類して複数のコンテンツプロバイダの商品データベースに対してクエリーをリレーする。

mcn01.jpg エム・シー・エヌのallwordsの仕組み

 コンテンツプロバイダに対するクエリーは直接商品データベースに対して行われるため、あらかじめ広告表示用テキストなどを入稿する作業がない。クローラーを使って更新情報を取得する方式に比べて、最新情報への対応が早くリアルタイム性が高いのも特徴という。また、コンテンツプロバイダはクリック課金で利用でき、あらかじめキーワード入札を行う必要がない。

 こうした特徴から、エム・シー・エヌ 営業部長の小林直樹氏は「既存のリスティング広告と同一画面に検索結果を表示させることで共存できるサービス。直接的に競合しないモデルだ」と説明する。

mcn02.jpg allwordsを用いた検索の例。ジャンルごとに分類して結果を表示することもできる

グローバル展開で増える採用事例

 エム・シー・エヌは、米モバイルコンテンツネットワークスの100%子会社として2006年1月に設立され、2007年10月に株式会社に移行したベンチャー企業だ。カリフォルニアの本社も2004年10月創業。同社グループは、すでにグローバル市場でフィンランド、タイ、スペインなどで大手キャリアと契約して、サービスを展開している。日本国内でも2007年12月にモバイル版「Yahoo! JAPAN」で採用されたほか、現在、地域フリーペーパー発行の「ぱど」が、モバイルサイト「ぱどMO」での採用を決めるなど事業展開を本格化している。

 電通総研によれば、モバイル広告市場における検索連動広告市場は2007年に立ち上がったばかりだが、今後数年は2桁成長を続ける。2007年にモバイル広告全体で556億円規模の市場は、2011年には1284億円に成長。うち4割弱に当たる494億円を検索連動型が占めると予想されている。

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(@IT 西村賢)

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