今後はBPMとBIの連携が“キモ”〜BPMの父が語るBPMは文化とテクノロジから理解しよう

» 2008年01月23日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 IDSシェアー・ジャパンは1月23日、自社セミナー「Scheer Seminar/ARIS Process Day Tokyo 2008」を開催。基調講演には、独IDSシェアー AGの会長であるアウグスト・ヴィルヘルム シェアー博士が登壇した。

 シェアー博士は、近年登場したSOAなどの新しいテクノロジによってBPMは新しいステージに来ていると指摘。SOAやルールエンジンの登場によって、ビジネスプロセスを改善できることが実証できるようになったという。また、BPMを語るうえでは、文化的な車輪とテクノロジ的な車輪の両輪を組み合わせて考えることが重要だと説く。

シェアー博士写真 独IDSシェアー AG 会長 アウグスト・ヴィルヘルム シェアー博士

 例えば文化的な側面からBPMを見ると、まずBPMの登場当時はデータをモデリングすることが主な役割であり、その後データだけでなくプロセスの理解や利用が進むようになっていった経緯があるという。さらに現在から近い未来には、「あらかじめルールを決めておいて、イベントが起きたら自動的にアクションを取る」というリアルタイム型に発展しつつある。シェアー博士は「発展の段階を説明すると、『データ指向型のアプローチ』から始まり、プロセス指向の『ARIS』に発展した。さらに現在では『リアルタイム型』に発展してきている」と解説した。

 さらに博士はイベント管理も必要だと強調する。従来はプロセス管理によって、プロセスが実行される前段階までの管理をBPMで行ってきた。しかし、リアルタイム型になると、「プロセスだけでなく、イベント実行後にも対応しなければならない」(シェアー博士)。

 もう一方のテクノロジ的な側面でBPMを見ると、ほかのアプリケーションとの連携強化が大きなトピックだという。例えば、IDSシェアーのプロセスとSAPとの連携を実現しており、BPM側で変更を行うとほぼ自動的にSAP側に反映できるとした。

 そして、博士は「実際、欧米ですでにリリースされている中堅企業向けのホスティング型ERPサービスである『SAP Business ByDesign』では、モデルドリブンを実現している。つまり、モデルが変わると自動的にコードが変更されるのだ。逆にプログラムが変わればモデルも変わる。ソフトウェア指向からモデル指向へ移行しつつある」と実例を挙げた。また、Ajaxの登場などでUIも大幅に進化しており、従来のDOSコマンドから現在ではAjaxを駆使し、Google Mapsなどとのマッシュアップも可能になり大幅に利便性が増している点も大きなポイントだとした。

グラフ写真 BPMが得意な分野とBIが得意な分野は対立せず、機能をうまく補完し合えるという

 続いて、シェアー博士はBPMの重要なトピックとしてBI(ビジネスインテリジェンス)との連携を挙げた。博士は、BPMとBIを「似ている部分があるものの対立点がなく、連携させるべきものだ」と説明。両者の主な違いを、BIは財務関連やデータを扱うツールであり、BPMがプロセス指向のツールであると定義した。これらを連携させることにより、ERPシステムのプロセスを自動的にアプリケーションからプロセス構造を作ったり、実際の業務プロセスからプロセス構造を構築することも可能になるなど、利点が多いとした。シェアー博士は、BIとBPMの連携により「利用頻度を調べることで、地域ごとの売り上げを簡単に比較したい場合や、頻度の多いプロセスを選び、頻度の多い順にプロセスを自動生成したりすることなどが可能になる。そして、最終的にはビジネス発展につなげることができるだろう」と語った。

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