Office Open XMLを採用

ものづくりコスト3割減、ロゼッタネットが部品情報の共通DB

2008/01/24

 サプライチェーン構築に関する標準化作業を行っている業界団体、ロゼッタネット・ジャパンは1月24日、大手電機メーカーなどのセットメーカーと、その取引先である部品メーカーの間で部品の情報を効率的にやり取りできるデータベースを構築する検討を始めたと発表した。部品情報のやり取りには主にマイクロソフトの文書フォーマット「Ecma Office Open XML」を利用する。

 データベースは「次世代部品技術情報流通基盤」といい、具体的には「Registry&Repositoryセンター」(R&Rセンター)と呼ぶプラットフォームを立ち上げる。R&Rセンターでは、セットメーカーが統一した部品仕様のフォーマットを部品メーカーに提示。部品メーカーは自社の部品のスペック情報や形状、環境情報、動作情報(シミュレーション情報)をフォーマットに記入し、R&Rセンターに登録する。セットメーカーはR&Rセンターの情報を参照し、必要な部品を探す仕組み。

rnj01.jpg ロゼッタネット・ジャパンの部品技術情報流通ワーキンググループ 主査の瀬口竜史氏

 これまでは各セットメーカーが1社当たり数千社ともいわれる部品メーカーと個別にやり取りし、部品を調査していた。しかし、そのプロセスには時間がかかり、紙の文書や電子メールのやり取りもあって情報の再利用が難しいという問題があった。EDIサーバを立ち上げて取引先の情報を管理する動きもあったが、中堅・中小企業も多い部材メーカーがEDIサーバを導入するのは困難だった。また、部品メーカーは、そもそも部品データベースの整備が遅れ気味。セットメーカーによって異なる仕様のフォーマットに合わせていくつもの部品情報の文書を作成するのも非効率だった。

 ロゼッタネット・ジャパンの部品技術情報流通ワーキンググループ主査の瀬口竜史氏(NTTコミュニケーションズ)は、「いずれも工数がかかっていて、このままでは日本企業はグローバルで立ち行かなくなる」と指摘。「情報を簡単に、速く流通させるためには部品技術情報の基盤が必要だ」とR&Rセンターの意義を説明した。ロゼッタネット・ジャパンは、セットメーカーがR&Rセンターを使うことで、ものづくりに関わるコストを30%削減できると見ている。

 中堅・中小企業の部品メーカーでも参加できるようにR&RセンターはSaaS方式を採る。ローカル環境の設備は不要で、部材メーカーは部品情報を入力した Office Open XMLの文書をWebサービスを使ってR&Rセンターに登録できる。登録データはXMLで管理する。将来的には電子メールの添付でも部品情報を登録できるようにする。企業間電子取引の標準規格「ECALGA」による登録や、Office Open XML以外のCSVやPDFなどの文書も、R&Rセンターに変換機能を設けて受け付けられるようにする。

rnj02.jpg R&Rセンターの概要

 Office Open XMLを選んだ理由は、多くの企業がすでにMicrosoft Excel、Wordを使っていて対応が容易と考えたから。加えて、ロゼッタネット・ジャパン顧問の野村茂徳氏は「グローバル組織のロゼッタネットはXMLベースの通信規格『RNIF』を使っている。そのため同じXMLベースのOffice Open XMLが使いやすい」と説明。同氏は「セットメーカーは情報のやり取りをすべてXMLでやりたいと考えている。そのため、どうしてもOffice Open XMLでやりたかった」とも述べた。

 ロゼッタネット・ジャパンはコンデンサなど部品5種のスペックデータに絞って、実験的にR&Rセンターの運用を2007年度中に開始する。検証結果を見て2008年度下期にも本格運用を始めるとしている。形状や環境情報、動作情報などのデータについても並行して進める。R&Rセンター検討のワーキンググループに参加するのは、NECエレクトロニクス、NTTコミュニケーションズ、エリスネット、ソニー、東芝、NEC、富士通、マイクロソフト、松下電器産業、ロームなど25社。

(@IT 垣内郁栄)

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