IBM版Facebookにメタバース

IBMのイノベーションラボで開発中の10の新技術

2008/01/25

 「IBM Lotusphere 2008」カンファレンスは各種の新しいコラボレーション技術の発表の舞台だが、IBMはこの機会を利用して、世界各国にある同社の研究所で開発中のソフトウェアを披露した。将来有望な10の新技術を以下に紹介するが、興奮しすぎないよう注意していただきたい。これらの製品の中には、既存のIBM製品に組み込まれる予定のものもあれば、最後まで日の目を見ることがないものもあるかもしれない。

「Bluegrass」

 IBMの公共向けメタバース(3Dの仮想空間)の「Bluegrass」は、仮想の会議室をセットアップできる仮想現実アプリケーションである。ソーシャルネットワーキングと仮想現実の融合と言えば確かに聞こえはいいが、人々は本当に、直接顔を合わせることをやめ、仮想会議室で会うようになるのだろうか。その答えはいずれ明らかになるだろうが、IBMはこの技術に大きな期待をかけている。

「Beehive」

 「Beehive」はIBM版Facebookである。6500人のIBM社員のプロフィールが記録されているこのアプリケーションは、単に魅力的であるだけでなく、有用性にも優れ、ユーザーは画像やビデオを投稿したり、イベント情報を共有したりすることができる。ドラッグ&ドロップでテキストを入力することもできる。Beehiveは製品として素晴らしい可能性を秘めているが、利益を生み出すには、IBMはBeehiveをホワイトラベルプラットフォームとして提供する必要があるだろう。

「Virtual Team-Building Game」

 「ゲーム」と言えば、「羊投げ」アプリケーションや「デジタルフードファイト」などが思い浮かぶが、IBMによると、「Virtual Team-Building Game」には目的があるという。このゲームは、仮想会議というコンセプトに慣れていない従業員の間で信頼感と協力関係を向上させるのが目的だ。このプログラムがスタンドアロン製品として提供される可能性は小さいと思われるが、仮想現実の普及の妨げとなる障害を取り除こうというIBMの狙いは的を射ている。

「Tag It」

 「Tag It」は、情報に付けられたタグを収集することにより、イントラネット検索の魅力をさらに高めようという技術だ。これで企業のイントラネット検索が楽しくなるかどうかは分からないが、同僚がどんなことに関心を持っているのか知る手助けになるのは間違いなさそうだ。

「Social Discovery」

 検索に人間味を付加しようというのが「Social Discovery」だ。この技術は、ほかの検索エンジンと同じくドキュメントを検索するが、IBM社内用の「Blog Central」アプリケーション、そのテーマに関連付けられた「IBM Dogear」タグ、ユーザーのレコメンデーションなどから収集したトピックに関係した人々の名前も追加される。検索結果はユーザーの関心の対象、ドキュメントに対するユーザーのフィードバック、ドキュメントの人気などを測る物差しにもなる。

「Chat Search」

 インスタントメッセージ(IM)とその正確な時間を検索できるアプリケーションがあったらどうだろう。考えただけでもぞっとするという人もいるかもしれないが、コンプライアンス担当者であれば、のどから手が出るほど欲しいかもしれない。IBMはこのツールをエンタープライズ検索製品に組み込む予定だ。

「Cattail Personal File Sharing」

 簡単に言えば、これはWebブラウザを利用したセキュアなファイル共有技術だ。「Cattail」は、ファイルが変更されると電子メールでユーザーに通知する機能や、ユーザーやトピックに関するフィード、全文検索機能などを備える。これ以上、新たなフィードシステムが必要なのかという疑問もあるが、CattailはGoogle Appsの「添付不要」ポリシーとは対極的な位置にある。

「SlideRiver」

 ナレッジワーカー同士のデジタルコラボレーションがますます盛んになる中、Google Presentationsアプリケーションを連想させる「SlideRiver」は、プレゼンテーションファイル上でユーザーが共同作業を行うことを可能にする。

「Project Jumbo」

 ディズニーのキャラクターであるダンボの巨大な耳にちなんで名付けられた「Project Jumbo」は、聴覚障害を持ったIBM Lotus SameTimeユーザーにとって朗報となりそうだ。Jumboは自動音声認識機能を提供する技術で、コンピュータに接続したヘッドセットに向かって話すと、Jumboプラグインはその文章をデジタル化してSameTimeのIMウインドウに入力してくれる。文字を素早く入力できるのが魅力だが、ゆっくりと話さなければならないのが難点だ。

「Real-Time Translation Service」

 グローバル企業は、異なる国々の従業員の間のコミュニケーションで苦労することが多い。こういった問題に対処するのが「RTTS」(Real-Time Translation Service)で、「音声から文字に」および「音声から音声へ」の翻訳機能を提供する。SameTimeのIMを英語で入力すると、東京にいる同僚はそれを日本語で読むことができる。SameTimeのWebカンファレンスのチャットでスペイン語で話すと、それが英語に変換されて発音されるといった具合だ。

原文へのリンク

(eWEEK Clint Boulton)

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