パケッティア、WAN最適化などを統合する管理ツールを発表各アプライアンスを最大2500台までSSOでGUI管理

» 2008年01月29日 00時00分 公開
[西村賢,@IT]

 パケットシェーパー製品群で知られるパケッティアは、今後の同社の方針を示す新たなビジョン「INTELLIGENT SERVICE ASSURANCE」(InSA)を打ち出した。2008年第1四半期は、このビジョンの実現に向けた製品を順次投入していく。

 1月29日に東京都内で会見した同社バイス・プレジデントのレイ・スメッツ(Ray Smets)氏は、現在企業が抱えるネットワークインフラにおける大きな課題は、多様化するアプリケーション、デバイス、技術に対応した管理手法の確立だと話す。アプリケーションレベルではWeb 2.0、VoIP、SOAなど、ネットワークレベルでは無線LANやWAN、システムレベルでは仮想化、PDAなどモバイル端末のサポートなどでITシステムは複雑化している。こうした環境で、安定したネットワークサービスを提供していくには、インフラ自体の「インテリジェンスのレベルを高めていくしかない」(スメッツ氏)。

米バイス・プレジデント セールス&マーケティング担当 レイ・スメッツ氏

 WAN最適化製品やモバイル向け高速化ソリューションなど、現在提供されているネットワークインフラ向けソリューションの多くは個別の最適化。これに対して、スメッツ氏が現在企業に求められているとするのは、アプリケーションを区別してビジネス上の優先順位を勘案した上で、インフラ全体にわたってネットワークリソースの配分をリアルタイムに最適化する統合された管理手法だという。

 こうしたビジョンの元、同社はWAN管理プラットフォーム「IntelligenceCenter」を発表。GUIベースの管理ポータルを使い、各パケッティア製アプライアンスを運用できる。具体的には、最大2500台までのPacketShaper、iShaper、iSharedアプライアンスをシングルサインオン環境で一元管理でき、パフォーマンス監視やレポート機能、ポリシー実施などが行える。しきい値を設定して各アプリケーションのパフォーマンスレベルを定義し、監視できる。レイヤ7で約600種のアプリケーションを識別でき、QoS機能や高速化、圧縮機能、管理機能などを提供する。例えば業務アプリケーションのパフォーマンスを娯楽目的のパケットから守ったり、VoIPアプリケーションではジッタ(遅延)を監視することで実際のアプリケーションのサービスレベルを管理できる。また、IntelligenceCenterはモジュール化されていて、他社製品との連携ができる。各アプライアンスから収集したエンド・ツー・エンドの通信情報をNBA(Network Behavior Analysis:振る舞い分析)製品への入力としてセキュリティを強化するなどの運用が可能だ。

 IntelligenceCenterの価格は管理するデバイスによって異なる。2月から販売代理店を通して出荷を始める。

IntelligenceCenterの画面例

レイヤ7パケットシェーパーもマルチGbpsの世界に

 主力製品「PacketShaper 10000」(PS10000)に追加して利用できるモジュール型アプライアンス「PacketShaper Talon TC30」(Talon)も、InSAというビジョン実現に向けて今回同社が新たに発表した製品だ。PS10000に付加することで3つの物理WANセグメント、6Gbpsのトラフィックを分類できる。Talonは起動時にOSイメージをPS10000からロードするなど単体で使うことを想定していない。

PacketShaper Talon TC30

 PS10000が分類、測定を行い、Talonはポリシーを適用してトラフィックを通過させる。こうしてTalonはPS10000に対してターボチャージャーの役割を果たすが、「導入に当たって設定や運用方法の変更は不要」(パケッティア ジャパン シニア・コンサルタント 高山雅人氏)だ。PS10000の導入企業は、従来のインフラをそのまま高速化できる。高山氏は「レイヤ7でマルチGbpsを実現したのは世界初。Talonが速くなればさらなる高速化もできる」といい、今後より広帯域化していくと予想されるキャリア・ISP向けソリューションとしても威力を発揮する。例えば、PS10000は、すでにテレビ業界や家電業界が推進するテレビ向けブロードバンドサービス「アクトビラ」に対応している。将来こうした動画などの広帯域コンテンツやP2Pなどマルチメディアコンテンツの利用が今より大幅に増えた場合、ISPがユーザーの利用アプリケーションや通信量、SLAによって料金体系を変える可能性がある。PS10000は、そうしたサービスメニューの開発・運用において基礎データを収集するツールとなる。

 PacketShaper Talon TC30の価格は450万円から。4月から代理店経由を通して提供を開始する。

 なお、この日同社はIntelligenceCenter、PacketShaper Talon TC30の2製品に加え、モバイル向けの高速化ソリューションの最新版「Mobiliti8」と、小型化されたアプライアンス「PacketShaper900」についてもアナウンスした。両製品とも順次リリース予定という。

今後リリース予定という小型のパケットシェーパー「PacketShaper900」

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