「SSDが主流に」、HDDではもう対応できないストレージ最前線EMCがハイエンド向けフラッシュドライブ発表

» 2008年02月12日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 EMCジャパンは2月13日、同社のハイエンドストレージシステム「EMC Symmetrix DMX-4」向けに、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を実装したフラッシュドライブを3月31日に発売すると発表した。ハードディスクドライブ(HDD)と比較してI/Oのパフォーマンスが30倍高速ながら、低消費電力を実現すると強調。ハイパフォーマンスなストレージシステムが求められる金融や通信の顧客企業に販売する。

 発表したのは73GBと146GBのフラッシュドライブ。3.5インチのフォームファクタで、HDDの代わりにDMX-4に搭載できる。書き込みを分散させるレベリング・アルゴリズム技術を採用し、高信頼性を確保するという。

米EMCのSymmetrix プロダクト・グループ担当 上席副社長 兼 ジェネラル・マネージャのブライアン・ギャラガ氏

 特徴は高性能と低消費電力。1万5000回転のファイバチャネルディスクと比較してI/O性能は30倍高速。応答速度も10倍高速という。対して、消費電力はドライブ当たり38%の削減が可能。1秒当たりのトランザクションで比較すると98%の消費電力の削減になるという。

 米EMCのSymmetrix プロダクト・グループ担当 上席副社長 兼 ジェネラル・マネージャのブライアン・ギャラガ(Brian Gallagher)氏は、高速な処理が求められるデータベースやクレジットカード処理のアプリケーション、金融アプリケーションのトランザクションなどで利用できると説明。「フラッシュドライブは今後、現在の高速なHDDと同等の使われ方をするだろう」と話し、「フラッシュドライブはメインストリームになる」と強調した。

 EMCがSSDを採用した理由は、HDDの技術革新が、高い処理速度を求める企業の情報システムに追随できなくなってきたからだ。EMCによると企業の情報は年平均60%で増加し、同時も情報システムでHDDが要求されるパフォーマンスも上がっている。しかし、HDDのI/O性能は年平均14%しか伸びていなくて、「必要な速度とHDDのパフォーマンスの間でギャップが広がっている」(ギャラガ氏)という。プロセッサやアプリケーションの速度も上昇していることからパフォーマンスの面でHDDが対応できなくなっているのだ。

EMCのハイエンドストレージ「EMC Symmetrix DMX-4」

 フラッシュドライブの価格は公開していない。1秒当たりのI/O処理数で比較すると、フラッシュドライブ1台は従来のHDD30台と同等といい、米メディアはフラッシュドライブの1MB当たりの価格は従来のHDDと比較して約30倍とも伝えている。EMCジャパンの代表取締役社長 諸星俊男氏は、「価格は高いがパフォーマンスを見てもらえれば十分にペイすると分かってもらえる」と話した。ハイエンドストレージにSSDを採用するのは EMCが初めてといい、「他社が追随するには1年以上かかるだろう」と述べた。

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