印タタ、今後は組み込み開発分野を中心に日本市場に注力横浜に開発センターを開設し、数年間で6500人を増員

» 2008年02月21日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 インド有数のSIerであるタタコンサルタンシーサービシズは2月21日、報道関係者向けの説明会を開催し、同社CEO兼代表取締役社長 スブラマニアン・ラマドライ(Subramanian Ramadorai)氏が今後の日本戦略などを語った。

 TCSは、インド有数のTATAグループの一企業で2007年の売上高43億ドル、利益9億5000万ドルを誇る巨大企業だ。日本でも1987年からビジネスを展開しており、現在インドのプネを中心に2000人のエンジニアが日本に注力した開発やサポートを行っているという。また、横浜に開発拠点を設け、日本人エンジニアを雇ってプネと共同で開発を行っていく予定だとした。

 ラマドライ氏は、「ここ5年間は日本の多国籍企業にフォーカスを当てて、ビジネスを展開してきた。中でも、日本企業向けの組み込み開発に力を入れている。横浜に組み込み開発用の拠点を設けるのは、日本独自の商習慣などに対応するために日本人エンジニアの必要性を認識しているからだ。今後数年間で日本向けの人材をインドの拠点を含め、6500名は増員していきたい」と今後の方向性を示した。

ラマドライ氏写真 印TCS CEO兼代表取締役社長 スブラマニアン・ラマドライ氏

 組み込み開発分野では、自動車、家電、製造業の組み込み開発に注力していく。ラマドライ氏は「組み込み開発では、すでに富士ゼロックスや日産自動車で実績がある。ソフトウェア開発だけでなく、ハードウェア開発も含めたソリューションとして提供していきたい。日本独自のやり方などを認識しているので、日本人を積極的に採用していきたい。日本市場はとくかく、ローカライゼーションとローカルデリバリーが重要だと考えている。また、インドの大学では日本語プログラムを実施しており、卒業直後から日本語サポートが可能な人員も育成している」と意気込みを語った。

 また、TCSはゲノム科学にも注力していく。TCSは、独立行政法人理化学研究所(理研)とバイオインフォマティックス分野における共同研究契約を締結し、2007年11月から共同研究を開始している。具体的には、TCSはメタゲノム解析研究で理研が扱うデータ解析処理や、有用な情報を抽出・解析するためのツールの開発を目指す。また、印ハイデラバードのTCSオフィス内に共同研究拠点を構築し、スーパーコンピュータの提供なども行う。理研はゲノム化学総合研究センターの研究者を同所に派遣し、研究開発を行っているという。

 ラマドライ氏は、「TCSは南米やオーストラリアなどでM&Aを実施し、知的財産などを手に入れてきた。日本でもM&Aは見据えている。まずは当社のコスト競争力と技術力を武器に日本の組み込み開発市場でシェアを拡大させていきたい。日本は特徴のある市場だが、日本以外のアジア圏や南米など、同じように非英語圏で成功してきた実績がある。それを活用し、日本でもビジネスを拡大させていきたい」とコメントした。

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